遠藤会『健全ロボ ダイミダラー』(『健全ロボ ダイミダラー』OP)

テレビアニメ『勇者王ガオガイガー』や特撮ヒーロードラマ『爆竜戦隊アバレンジャー』の主題歌で知られる遠藤正明さんが主宰を務める音楽ユニット、遠藤会による同名ロボットアニメのオープニング主題歌にして、衝撃(笑撃?)のデビューシングル。

遠藤会には、遠藤正明さんの他に鷲崎健さん、やまけんさん、milktubのbambooさんというアニラジファンにはお馴染みのメンバーが在籍しており、その楽曲も遠藤さんのソロ活動時における諸楽曲に比べると、音楽的方向性をグッとコメディ路線に振り切っています。

遠藤さんの侠気溢れる歌唱に、ハードなサウンドが組み合わさった熱いロボットアニメ主題歌……と見せかけて、実は、歌詞にシモネタを盛り込んだキワモノソング。

必要以上に繰り返される「ミダラ」というフレーズを筆頭に、アニメの劇中に登場するエロにまつわるキーワードの引用で構成された歌詞のインパクトが、とにかく強烈な楽曲です。

しかしながら、遠藤会メンバーの歌を盛り上げるバックの演奏は、ストレートなバンドサウンドを採用しており、イロモノ感満載なリリックとは相反するロックなエッセンスを感じられるのもこの曲の大きな魅力。特に、ツービートで疾走するドラムのバスバスしたビートは、一際痛快です。

『健全ロボ ダイミダラー』という作品自体が巨大ロボットアニメのパロディを多用した一風変わったコメディアニメでしたが、その作品の主題歌に相応しい笑いと熱さが並び立った良曲です。

宮内タカユキ『戦えぼくらの×××』(『ギャラクシーエンジェルZ』挿入歌)

この曲もアニメや特撮の主題歌でファンから愛される大物シンガーを招いての大ネタソング。コメディアニメ『ギャラクシーエンジェル』の挿入歌として使用された曲で、ゲストヴォーカリストとして『仮面ライダーBLACK RX』や歴代メタルヒーローシリーズといった東映特撮作品でお馴染みの宮内タカユキさんが参加しています。

勇壮なメロディによる伴奏を従え、宮内さんがあの"良い声"で高らかに歌い上げているのですが、「戦いに赴く巨大ロボットの名前を言いそうで言わない」という展開がラストまで繰り返されます。

昭和のロボットアニメの主題歌は、サビのパートで主役のロボットの名前が歌詞に登場するのがお約束。ところが、この曲は、そのお約束を反故にし、豪快にパロディ化しているのです。

本曲は、シリーズ2期の『ギャラクシーエンジェルZ』で使用された挿入歌であり、エピソードのシナリオと歌詞や曲の展開がシンクロした"音楽ギャグ"として制作された楽曲なのですが、その一発ネタの為だけに宮内さんを呼ぶという、まさに「宮内タカユキの無駄遣い」と呼ぶべき盛大なギミックが更なる笑いを誘う1曲となっています。

この曲に限らず、「○○の無駄遣い」的に大御所声優やアニソン、特ソン歌手の場違いなキャスティングで笑いを誘う手法は、ギャグアニメでしばしば見られる演出テクニックですが、そうしたシチュエーションでも妙にノリノリでおふざけに付き合ってくれる大御所の皆さんの気さくさとノリの良さは、本当に素晴らしいと思います。

鈴木結愛、佐藤陽菜、高橋葵、田中心春『Stand Up!!!!』(『てさぐれ! 部活もの』主題歌)

プレスコ方式で収録した主演声優のやり取りに合わせて3DCGによるアニメーションを展開する新感覚ショートアニメ『てさぐれ! 部活もの』。

前身的な存在である『gdgd妖精s』や『直球表題ロボットアニメ』と同じく、声優ラジオ的な親しみやすさと実験的な要素が絶妙なバランス感覚でミックスされており、続編も制作される人気シリーズとなりました。

オフビートな制作方法やコメディ感覚と同じく、その主題歌もポップかつ捻りの効いたユーモアが注がれており、アニメのオープニングアニメーションにありがちな演出やキャラクターの描写方法をそのまま歌詞に書き起こした、所謂"あるあるネタ"で構成された1曲となっています。

アニメ版では、歌詞のあるあるネタに合わせて、そっくりそのまま映像が展開されるというメタフィクション的な仕掛けが施されており、そのギミックでもファンを楽しませてくれました。

徹頭徹尾ネタと笑いに終始した本曲は、ある意味で正統派のコミックソングと言えますが、アイドルソングとしてのツボを抑えたバックトラックの完成度も非常に高く、シンプルに曲単体で評価できる良曲です。