ビンラディン殺害を描く『ゼロ・ダーク・サーティ』が論争の的に

2013.2.8 16:41配信
『ゼロ・ダーク・サーティ』Jonathan Olley(C)2012 CTMG. All rights reserved

『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督作『ゼロ・ダーク・サーティ』がアメリカで大きな話題を集めている。興行的にも成功を収め、本年度のアカデミー賞でも5部門で候補に入るなど好調だが、その内容を巡って論争が起こっているからだ。本作が描くのは、全世界が知らなかった“ウサマ・ビン・ラディン殺害の真実”だ。

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本作は、アメリカ同時多発テロ事件の首謀者とされるウサマ・ビン・ラディンの居場所を突き止め、追いつめ、殺害するCIAの隠密作戦の真実を、ひとりの若き分析官の女性の苦悩を主軸に描いた作品だ。ビグロー監督と、前作『ハート・ロッカー』でもタッグを組んだ脚本家マーク・ボールは、関係者たちへの取材を繰り返して脚本を執筆したという。しかし、題材の性質上、情報源は秘匿されており、その真偽を細部まで検証することは難しい。また、劇中でCIAが行う拷問シーンを巡って抗議の声をあげる政治家が登場するなど、本作は“問題作”として大きな注目を集めている。

古くからアメリカ映画は、自国が抱える問題や矛盾、事件や事故に関する疑惑を描いてきた。後にニクソン大統領を辞任へと導いたウォーターゲート事件を題材にした映画『大統領の陰謀』が公開されたのは事件が起こってから2年後の1976年。2004年には、マイケル・ムーアがドキュメンタリー『華氏911』を発表してブッシュ再選阻止を訴えて大きな論争が起こり、昨年には『ゼロ・ダーク…』にも登場する米海軍特殊部隊の戦いを描いた映画『ネイビーシールズ』が公開されたことで、ある政治家がペンタゴン(米国国防総省)に抗議したというニュースが流れた。

現実の出来事を調査し、時に実名で映画化することの是非はあり、『ゼロ・ダーク・サーティ』で描かれていることが本当に真実なのか? という疑問は消えることはない。ちなみに脚本を手がけたマーク・ボールは「作品の中の登場人物は、マヤも含めて全員実在の人物に基づいていますが、マヤは映画の中の人物であり、これはドキュメンタリーではありません」と語っている。

果たして本作で描かれている内容のどこまでが“真実”なのか? と同時に“真実”をすべて明らかにすることでどんな影響がもたらされるのか? 映画『ゼロ・ダーク・サーティ』を巡る論争は今後も続きそうだ。

『ゼロ・ダーク・サーティ』
2月15日(金) TOHOシネマズ有楽座ほか全国公開

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