『世界にひとつのプレイブック』(C)2012 SLPTWC Films,LLC. All Rights Reserved.

22日(金)から日本公開になる映画『世界にひとつのプレイブック』で主人公の父親役を演じている名優ロバート・デ・ニーロの出演シーンの一部が公開された。先ごろ、米国のテレビ番組で自身の息子が精神を患っていることを告白したが、本作でも心の病を抱える息子を見守る父親を演じ、本年度のアカデミー助演男優賞にノミネートされている。

出演シーンの一部

映画のタイトルになっている“プレイブック”とは、アメリカンフットボールでそれぞれのチームがつくる“作戦図”のこと。本作は、妻の浮気をきっかけに家も仕事も失い、自身の怒りを抑えられなくなってしまった元教師のパットが、同じように心に問題を抱えた女性ティファニーと出会い、周囲の人々を巻き込みながら再起の道を疾走する感動作だ。

1943年にニューヨークで生まれたロバート・デ・ニーロは、朋友マーティン・スコセッシ監督の作品で知名度を上げ、その後も『ゴッドファーザー PART II』や『ディア・ハンター』などで名演を見せ、2度のオスカーに輝いている。そんな彼が『世界にひとつの…』で演じるのは、心に病を抱えて苦しむ主人公パットの父親だ。彼は夜中であろうと突然ブチ切れる息子に手を焼く父親であると同時に、地道に働かずにレストラン開店資金を得ようとアメフトのギャンブル行為に人生を費やすダメ親父だ。デ・ニーロは主演俳優が決まる前からこの役を演じることを決めており、主演俳優選びが難航していた際に監督にブラッドリー・クーパーを推薦したのもデ・ニーロだったという。

このほど公開された映像は、主人公パットより兄ばかりに期待をかけ、現在はフットボールの賭け行為に執心していると思われていた父が、パットに自身の想いを伝えるシーン。数十キロの体重増減や外国語のマスターなど、これまでデ・ニーロの役作りに関するエピソードは多く紹介されてきたが、本作では、デ・ニーロ自身が心に病を抱える息子と向き合った経験と、細部まで考え抜かれた役作りによって、これまで以上に繊細な演技を披露している。本作で彼が演じたのはギャングの大物でも、マフィアのボスでも、栄光を掴んだボクサーでもない平凡な男だ。しかし、これまで以上にデ・ニーロの役に向き合う真摯な姿勢が伝わってくる演技で、3度目のオスカー受賞に大きな期待が寄せられている。

『世界にひとつのプレイブック』
2月22日(金) TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開