『ザ・マスター』を手がけたポール・トーマス・アンダーソン監督(写真左)(C)MMXII by Western Film Company LLC All Rights Reserved.

第85回アカデミー賞発表を前に“前哨戦”と称される映画賞が発表されている。現在、多くの映画賞で栄冠に輝いているのはベン・アフレック監督の『アルゴ』だが、アカデミー賞ではなぜか監督賞にノミネートされていない。また、アフレックが激賞している『ザ・マスター』のポール・トーマス・アンダーソン監督も監督賞の候補から外れている。なぜ、多くの映画ファンや批評家から支持されている映画人がアカデミー賞で正当な評価を得られないのだろうか?

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『アルゴ』は、ゴールデン・グローブをはじめ、監督組合賞やプロデューサー組合賞などを受賞。オスカー受賞の可能性が高いとされているが、アフレックはなぜか監督賞にはノミネートされなかった。ちなみにゴールデン・グローブの授賞式でアフレックは「ノミネートされなかったたくさんの才能ある方々に感謝したい。ポール・トーマス・アンダーソンは、僕にとっては、オーソン・ウェルズみたいな人だ!」とスピーチしたが、アンダーソン監督も数々の映画賞に輝きながら、なぜかオスカーからは嫌われてしまった。

そもそもオスカー候補作品は、映画芸術科学アカデミー会員の投票によって決まるもので、高評価の作品がなぜか候補から外れたり、受賞を逃すケースがある。思い返せば、先にアフレックが名前を挙げたオーソン・ウェルズも名作『市民ケーン』では作品賞も監督賞も受賞しなかった。また、アンダーソン監督が敬愛していたロバート・アルトマン監督も、スタンリー・キューブリック監督もアカデミー監督賞に輝くことなくこの世を去っている。アカデミー賞だけが映画の評価を決めるものではない。しかし、多くの映画賞に輝き、歴史の名を残す映画を手がけてもアカデミー賞で評価されない作品が確かに存在するようだ。

『ザ・マスター』は、第二次世界大戦で心に大きなキズをおった元兵士フレディ(ホアキン・フェニックス)と、宗教団体のカリスマ・トッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)の運命を描いた壮大なドラマ。ベネチア映画祭で銀獅子賞、国際批評家連盟賞を受賞するなど高い評価を得ている。

『ザ・マスター』

ブルーレイ&DVD『アルゴ』
3月13日(水)発売 3980円(税込)
発売・販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ