宝塚歌劇花組『オーシャンズ11』 撮影:三上富之 宝塚歌劇花組『オーシャンズ11』 撮影:三上富之

2011年に宝塚星組で上演され、好評を得た『オーシャンズ11』が花組で再演。2月8日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。

宝塚歌劇花組『オーシャンズ11』のチケット情報

原作は、天才詐欺師ダニー・オーシャンと10人の仲間たちが、ラスヴェガス最大のカジノの金庫破りに挑む犯罪アクション映画。主演のジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツら豪華スターの共演でも知られるヒット作だ。服役中のダニー・オーシャンは、仮釈放になると同時に、ラスヴェガスへと向かう。愛する妻テスをホテル王ベネディクトから取り戻す、壮大な計画を実行するために……。

第1幕はトップスター蘭寿(らんじゅ)とむ演じるダニーと、北翔海莉(ほくしょう・かいり)演じるラスティーによる仲間探しや、ベネディクトの企みを中心に展開。第2幕はカジノに潜入し、金庫破りの計画を実行する、コミカルかつ緊張感のあるシーンが続く。初演同様、イリュージョンも取り入れた、華やかでスリルあふれるステージは、観客をグイグイと引き込む要素が満載。蘭寿を中心とする、黒スーツをまとった男役のクールなダンスにうっとりし、11人のメンバーがズラリと並んで颯爽と去っていく後ろ姿には男の色気を感じ……。そんな男役の魅力をたっぷりと堪能しつつ、望海風斗(のぞみ・ふうと)演じるベネディクトの鼻を明かすチームプレイに爽快感を覚える。

蘭寿は、持ち味である柔らかく落ち着いた雰囲気を漂わせながら、クールでアダルトに“チョイ悪”なダニーを演じる。透明感が魅力の娘役トップスター蘭乃はなは、歌手でダニーに離婚を要求している妻テス役。ベネディクトとダニーの間で揺れ動く気持ち、知性のある女性を繊細に表現している。さらに、ダニーの親友ラスティー役の北翔は、芸達者ぶりをいかんなく発揮。ときには爆笑が起こるほどの演技で楽しませてくれる。蘭寿と北翔がふたり並べば、抜群のコンビネーション。安定感のあるふたりのもと、演技力の高い元詐欺師ソールを演じる悠真倫(ゆうま・りん)、ヨーヨーの達人イエンを演じる華形ひかるほか、個性あふれる“イレブン”たちがそれぞれの魅力をアピールしながら演じていく。また、ベネディクトを演じる望海も、冷徹な悪人を表情豊かに好演している。

壮大にショーアップされたラスヴェガスの華やかさと、宝塚歌劇の煌びやかなステージがピタッとはまった『オーシャンズ11』。花組の豊かな男の色気と痛快なステージングに引き込まれるはずだ。

兵庫公演は3月11日(月)まで上演中。また、3月29日(金) ~ 5月5日(日・祝)まで、東京宝塚劇場にて上演される。東京公演のチケットは2月24日(日)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは一般発売に先駆けて、インターネット先行抽選(プレリザーブ)を2月18日(月)11時まで受付中。

取材・文:黒石悦子