(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

 前作『サマーウォーズ』の16億5000万円を大きく上回る、約42億のヒットを飛ばした細田守監督作『おおかみこどもの雨と雪』が2月20日(水)より、Blu-ray Disc&DVDにて発売になる。なぜ、これほどまでに『おおかみ…』は幅広い層に支持されたのか? 本作を機に立ち上げられた「スタジオ地図」のプロデューサー/代表取締役で、これまでも細田作品のプロデュースを手掛けて来た齋藤優一郎は語る。

340万人はある種のジャンルを越えていかないと達成できない数字

「映画は本当に一本、一本なんです。毎作常に新しいモチーフやテーマ、そして表現にチャレンジをし、「映画は公共のものである」と考える細田監督の映画を、一番良い形で作って一番良い形で世の中に出していきたい。

昨年夏に公開した『おおかみこどもの雨と雪』も同様で、アニメーション映画において、「主人公が子供ではなく親であり、子育てのことを描く」と言った、斬新な事にチャレンジをしている作品を、340万人を超える沢山の方々に観て頂けたことは本当に驚きですし、心から感謝しています。

340万人という数字は、映画ファンであったりというセグメントやある種のジャンルを越えていかないと達成できない数字だと思うんです。映画は、観客の皆様ひとりひとりが作品と対話をするもの。もちろん楽しみ方はいろいろあると思うのですが、数多くある映画作品の中で、自分自身と対話できる作品として本作を選んで頂けたことを、大変嬉しく思っています」

なにより今のアニメーション人気は、そのすべてが映像だけのすごさやキャラクターだけの人気に特化されない、確かな映画作品であるということが大きいだろう。今のお客さんは、アニメだから、実写だからじゃなくて、面白いものを探して観に行ってることの裏付けにもなっている。

映画というのは、お客さんひとりひとりが作品と対話できるもので、楽しみ方はいろいろあるが、その中で何か対話できる作品としてこの作品が選ばれた理由としてあげられるのは、細田守監督が形を変えながら一貫して描いている「身近なテーマ」だ。

 

 「『サマーウォーズ』は“親戚”が主人公で、『おおかみこども…』は親が主人公の映画。細田監督は、もしかしたら世界中の誰もが体験し、映画の主人公になりえるかもしれないと言った、身近な体験や人生の面白さをモチーフとして描いています。

そう言った普遍性や多様性と言ったモチーフの中にこそ、沢山の人々と面白さを分かち合える映画の公共性が潜んでいる。細田監督はそう言った事を、特に海外の国際映画祭などで強く感じるとよく話をします。