ロドリゴ・コルテス監督

30年の沈黙を破って姿を現したカリスマ超能力者と、彼の正体を暴こうとする科学者チームの頭脳戦を描くスリラー『レッド・ライト』を手がけたロドリゴ・コルテス監督が“脳のメカニズムを描く”という本作の狙いについて語った。

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超常現象と謳われている事象を科学的に解析し、超能力や霊能力を自称するペテン師たちの正体を暴く科学者チームが、30年の沈黙を破ってよみがえった伝説の超能力者サイモン・シルバー(ロバート・デ・ニーロ)との対決に身を投じる本作。超常現象VS.科学の力という伝統的な対決構図を借りて「脳のメカニズムを描こうと思った」とコルテス監督は狙いを明かす。「人の脳はいかに不完全で、あてにならないかを描こうと思ったわけだよ。それを描くためのバックグラウンドとして何が魅力的かを考えた時に、超常現象を扱った詐欺まがいの人たちがいいと思ったんだ」。

コルテス監督は「到底信じられないモノを信じてしまうピュアな人と、ウソをつく詐欺まがいの人たち。相対する者同士が合体して、超常現象が成り立っているわけだよ。それを背景にすれば“いかに人間の脳があてにならないか”という面白い話になると思った」と言う。もちろん、コルテス監督は科学者サイドの立場で超常現象を見ている。「たとえばデビッド・カッパーフィールドやクリス・エンジェルはマジシャンで、魔法じゃないわけだ。ただ、神の啓示がどうのこうの言う人のファンは、彼の言うことを盲信しているだろうね(笑)。これって“ワラにもすがりたい人たち”の信じたい想いが先に出ちゃっている結果だと僕は思うな」。

ここ日本でもサイモンのような超能力を説く人がいて、ビジネスにしている人がいそうな気がすると言うと、「それってマジなの?」と興味を示す。だからこそ、日本でも本作を公開する意味がある! と想いを伝えると、「哀しいけれど、それはないね(笑)」と物憂げな眼をするコルテス監督。「そういう人たちは、自分に都合のいいことしか信じない。僕に出来ることは、人の脳が曖昧だということだけだよ」。

『レッド・ライト』
公開中取材・文・写真:鴇田 崇

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