手頃な価格が魅力のICレコーダー、2012年のシェア1位はオリンパス

2013.2.18 19:53配信

ゲーム機や携帯オーディオプレーヤー、コンパクトデジタルカメラ、ポータブルナビ(PND)などの「専用機」は、それらとほぼ同じ機能を利用できるスマートフォンに取って代わられてしまうのではないか――そんな懸念を抱いているユーザーや関係者は多いかもしれない。しかし、家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2012年1月以降、ICレコーダー、デジタルビデオカメラの販売台数は前年同月比89.9~126.9%と、ほぼ前年並み、悪くても1割減の範囲に収まっている。なかでもICレコーダーは、実売1万円以下の低価格機種が人気を集め、堅調に推移している。今回は、そんな隠れたヒットアイテム、ICレコーダーの販売動向をまとめた。

●廉価なICレコーダーが伸びる リニアPCMレコーダーのブームは一段落

「BCNランキング」では、ICレコーダーについて、原音をありのままに録音する非圧縮のリニアPCM形式で録音できる製品を「リニアPCMレコーダー」、MP3やWMA形式の録音でリニアPCM形式に対応していない製品を「ICレコーダー(リニアPCM非対応モデル)」と分類している。リニアPCMレコーダーは楽器演奏や自然音の録音などの趣味向け、リニアPCM非対応のICレコーダーは会議や講演会の録音などビジネス向けの位置づけだが、リニアPCM形式で録音できるビジネス向けICレコーダーもあり、厳密な区分けはない。

少し前、「生録」というキーワードとともに、高音質のリニアPCMレコーダーが脚光を集め、10年11月には、初めてリニアPCM対応モデルがリニアPCM非対応モデルの販売台数を上回った。しかし、欲しい人の手にはひと通り渡ったらしく、12年7月以降は前年割れが続いている。ICレコーダー全体の販売台数に占めるリニアPCM対応モデルの割合は、最大56.0%に達し、その後もしばらく50%台を保っていたが、ここ半年ほどは40%台後半に低下。代わりにリニアPCM非対応のICレコーダーが盛り返してきた。11年11月以降、販売台数前年比は106.3~139.5%と好調で、リニアPCMレコーダーが落ち込んだぶんをカバーしている。

●ICレコーダー全体の2012年のメーカー別販売台数1位はオリンパス

ICレコーダー全体の2012年のメーカー別販売台数1位は、シェア41.5%のオリンパスだった。ICレコーダー全体の47.6%を占めるリニアPCMレコーダーに限るとソニーに次いで2位だったが、残り52.4%を占めるICレコーダー(リニアPCM非対応モデル)では、2位のソニーを20ポイント以上引き離してのダントツのトップで、トータルでも1位に輝いた。

カラーバリエーションを合算したシリーズ別で12年に最も売れたICレコーダーは、ソニーの実売1万円を切るリニアPCMレコーダー「ICD-UX523」。2位はオリンパスのシンプルデザインのモノラルICレコーダー「Voice-Trek VN-7200」、3位はパナソニックのモノラルICレコーダー「RR-US300」だった。

13年1月単月では、12年に年間2位だったオリンパスの「Voice-Trek VN-7200」がトップに立ち、2位にオリンパスのステレオICレコーダー「Voice-Trek V-801」、3位にソニーのリニアPCMレコーダー「ICD-UX533F」、4位にオリンパスのFMチューナー搭載リニアPCMレコーダー「Voice-Trek V-802」が入った。実売価格はいずれも1万円未満だ。

13年1月のICレコーダー全体の税別平均単価は7286円。リニアPCMレコーダーに限ると平均単価は9378円に上がるが、リニアPCM非対応のICレコーダーに限ると5510円に下がる。また、リニアPCM非対応のICレコーダーの価格帯別販売台数構成比を集計すると、「5000円未満」が55.3%で最も多く、「5000円以上1万円未満」と合わせて9割弱が1万円未満だった。リニアPCMレコーダーも平均単価は下落傾向で、全般的に以前より手頃になっている。内蔵メモリの容量は2GBと4GBが多く、一部の廉価機種を除いてメモリカード(外部メモリ)への録音に対応する。好調の要因として、数年前に購入した内蔵メモリ1GB未満、外部メモリ非対応のICレコーダーからの買替えも多そうだ。

●ライバルはスマートフォン? それともデジタルビデオカメラ?

iPhoneの場合、純正アプリ「ボイスメモ」を利用すれば、簡単に音声を録音できる。iPhoneに限らず、マイクを備えたスマートフォンやタブレット端末なら、アプリを使って録音や音声入力ができる。「スマートフォンがあればICレコーダーはいらない」といわれるゆえんだ。

日頃、記者会見やインタビュー取材でICレコーダーを使っている同僚の話によると、録音のクオリティはマイクの性能に左右されるので、使い勝手や安定感・信頼感という点で、ICレコーダーは欠かせないという。それでも別の同僚は、手持ちのICレコーダーは内蔵メモリの容量が少なく、長時間の取材だとメモリ容量が足りないので、ほぼ無限に録音できるiPhoneに切り替えたと話していた。どちらがいいかは、本人の考え方と求める録音品質、ICレコーダー本体の性能、内蔵メモリの容量などによって変わってくる。日常のメモ的な録音はスマートフォン、趣味や業務用の本格的な録音はICレコーダーなど、利用シーンに応じて使い分けるスタイルがベストかもしれない。音声と映像を一緒に記録できるデジタルビデオカメラ・デジタルカメラで代用するという選択肢もあって、ジャンルの境界線があいまいになりつつある。

販売データを見る限り、今のところ、ICレコーダーとスマートフォンの売れ行きに相関性はないようにみえる。購入者層の違いと、モノラル録音タイプなら実売5000円以下という「安さ」が決め手になっているようだ。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

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