もうすぐ師走の忘年会シーズン。そこで今回は、ちょっとした酒の席でのトークに役立つかもしれない「漫画の雑学」をお届けする。古今東西ノージャンル、かつ情報量多めで読みにくいかもしれないがご容赦願いたい。


【その1】世界最長寿漫画はスヌーピーじゃない
「世界で一番長く続いた漫画は?」と質問されたら「スヌーピーの出てくるやつでしょ」と答えたいところだが、その記録、実は最近塗り替えられている。

新たに世界記録となったのは小島功(こじまこお)氏の『仙人部落』。1956年にスタートしたこの漫画は『ピーナッツ』(スヌーピーとゆかいな仲間たち)の連載54年間を超え、今なお記録更新中だ。ちなみに小島氏は日本酒・黄桜のCMに出てくる色っぽいカッパのお姉さんを描いている人。ほかに代表作では『ヒゲとボイン』も知られている。
<黄桜 本造りカッパ 180ml> 221円

 

【その2】“ジャンプ”と名の付く漫画誌はいくつ?

有名どころは当然『週刊少年ジャンプ』だが、ほかにいくつのジャンプが存在するのだろうか? 現時点で確認できるのは『週刊ヤングジャンプ』『少年ジャンプNEXT!』『ミラクルジャンプ』『ウルトラジャンプ』『Vジャンプ』『ジャンプスクエア』、さらに2011年創刊の『最強ジャンプ』『ジャンプ改』『グランドジャンプ』『グランドジャンプPREMIUM』が加わる。ウェブコミックサイトの『ウルトラジャンプエッグ』も合わせれば、ジャンプと名が付くのは合計12誌になった。もはや把握しきれない数だ。なお、わりと知名度の高かった『スーパージャンプ』と『ビジネスジャンプ』は今年で休刊。

『週刊少年ジャンプ』 No51号より 

公式サイト

 
【その3】“3大少年誌”は二強一弱
雑誌ネタでもうひとつ。3大少年誌といえば週刊少年ジャンプ・マガジン・サンデーのことを指すが、最新の発行部数を調べてみると明暗がくっきり分かれる。日本雑誌協会のデータによれば、ジャンプの部数はおよそ287万部。次いでマガジンがおよそ157万部。最後のサンデーはおよそ67万部……と大きく離されてしまっている。月刊誌まで比較範囲を広げると、少年誌ジャンルでは同じ小学館の『コロコロコミック』(95万部)、講談社の『月刊少年マガジン』(84万部)のほうが多い。さらにヤング向け以上を含めれば、『ヤングジャンプ』(76万部)、『ビッグコミックオリジナル(72万部)、『ヤングマガジン(80万部)に負け、少女漫画誌の『ちゃお』(74万部)よりも少ない。がんばれサンデー!
『週刊少年サンデー』 公式サイト


【その4】花沢さんは原作に出てこない
最近は携帯電話が使われたり、部屋に韓流アイドルのポスターが貼られたりするようになった長寿アニメ『サザエさん』。実は花沢さんをはじめ、カツオとワカメのクラスメート・教師の大半は原作漫画に登場しない。ほかに名脇役のアナゴ君、1980年代まで礒野家の隣に住んでいた浜さん一家などもアニメ限定キャラクターだ。現在の隣人、伊佐坂ファミリーは原作で一度登場している。
TVアニメ『サザエさん』公式サイト


【その5】ジャムおじさん・バタコさんは人間じゃなかった

   




『それいけ!アンパンマン』公式サイト


『それいけ!アンパンマン』の人気キャラクターであるジャムおじさんバタコさん。アニメ版では公式に人間だと設定されているのだが、過去に発売された研究本によれば、原作者の漫画家・やなせたかし氏が「妖精に近い存在」と語っている。主要なパン型ヒーローのうち“しょくぱんまん”だけ他の2人(アンパンマン、カレーパンマン)と出自が違っていたり、実は犬のチーズは言葉をしゃべれる設定だったり、調べれば『アンパンマン』には興味深い話が少なくない。なおアニメ版はキャラクター数の多さでギネス認定されたという意外な記録も持っている。
 

【その6】変わった経歴の漫画家
上記『アンパンマン』のやなせ氏も徴兵されて出征を経験しているが、戦場経験者としては『ゲゲゲの鬼太郎』作者の水木しげる氏が有名。いくつもの修羅場をくぐり抜けて片腕を失いながら生還し、日本を代表する漫画家となった。








『エイキエイキのぶっちゃけ隊!!』
新書館 819円
<セブンネットショッピングで購入>

血筋という意味での変わり種は影木栄貴(えいきえいき)氏。祖父は第74代内閣総理大臣の竹下登で、ミュージシャンのDAIGOが実弟である。学歴面では『美味しんぼ』原作者の雁屋哲氏、『CYNTHIA THE MISSION』で知られる高遠るい氏が東大卒。デビューの遅さで知られるのは『ナニワ金融道』の故・青木雄二氏で、なんと45歳で商業デビューを果たした。
影木栄貴公式サイト


【その7】万能超人“キバヤシさん”
『金田一少年の事件簿』(天樹征丸)、『BLOODY MONDAY』(龍門諒)、『シバトラ』(安童夕馬)、『神の雫』(亜樹直)、『GetBackers-奪還屋-』(青樹佑夜)、そして来年1月からテレビアニメ化される『エリアの騎士』(伊賀大晃)……名義はそれぞれ違うが、実はすべて同じ原作者である。その正体は元・『週刊少年マガジン』編集者の樹林伸(きばやししん)氏。昔懐かしいオカルトドキュメンタリー漫画『MMR マガジンミステリー調査班』で「人類は滅亡する!」「な、なんだって~!?」の黄金パターンを誇った、あのキバヤシ隊長のモデルでもある。ちなみにメインの名義は亜樹直で、このペンネームは姉と2人で共有している。

 

右 『極厚愛蔵版 金田一少年の事件簿 1』 講談社 980円 
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左 『エリアの騎士 1』 講談社 440円 <セブンネットショッピングで購入>


……以上、お役に立てただろうか。有名漫画家の訃報にまつわる都市伝説も入れるつもりだったが、書いている途中にパソコンが謎のフリーズを繰り返したので割愛させてもらったことをお詫びする。忘年会にホラーは不要ということか。

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。