「一見、その風貌が、キノコに似ていることから、『木の子』と命名しました。この建物、山に映えているキノコを思わせるよう感じでほぼ円形をしています。

周りに芝が植えてあるので、まるでキノコが生えている緑の山のよう。そんな場所で、子どもたちがぐるぐる走り回っています。

子どもたちは、ただ単にぐるぐる回っているようですが、その中にはスタート地点から一回りして同地点に戻ってきて、1周、2周、3周……というような達成感、また、1、2、3周というような子どもたちなりの秩序感の育成に役立つような環境にもなっています。

また、キノコのほかに、昔の番傘、蛇の目傘を連想する方も多くいらっしゃいます。確かに、童謡『あめふり』のフレーズにあるような光景も思い浮かばれ、子を思う親の心まで表現している建物と思っています」

子どもたちの成長を支える保育の工夫

また、スマイルエッグスが大切にしている保育内容にも特徴がありました。

「0才児からの体の成長とその動きを捉えた環境づくりに重点を置いています。特に、体の動きはじめ(ハイハイ~つかまり立ち~よちよち歩き)、歩きはじめのときに、安全を確保した中、子ども自らが、自ら育つ力を発揮し、発達を遂げられるような環境づくりをしています。

具体的には、一目で見渡せる部屋環境の中、室内の外側に高さ約8cm、幅30cmの段差を設け、子どもたちがそこに上がったり、そこから降りたりという行動を誘発し、歩き始めた子どもたちの体づくり、バランスづくりに役立っています」

木の香りが気持ちいい園舎で、子どもたちが体を動かしながら伸びやかに保育されている、そんな様子が目に浮かぶような園ですね。

まとめ

「子どものために」と考えられたデザインで受賞したことはもちろんなのですが、その保育内容や特色にも魅力を感じますよね。

今回紹介した園だけでなく、全国各地の保育園でも、土地の問題や予算の問題などは園によって事情が違いつつも、子どもの安全のため、親の安心のためにと考えられて作られた園舎の中、それぞれの園の方針のもとカリキュラムが組まれていることと思います。

今後はこういった独自の色を打ち出す園が増えてくるのではないでしょうか。

待機児童問題などもあり、必ずしも親が行かせたいと思った園に行かせられるわけではないのが現状ではありますが、まさに保活中の筆者も、全国の子どもを持つ親御さんが希望通りの園に子どもを通わせることができるよう、そんな世の中になっていくよう、心から祈っています。

<参照>KIDS DESIGN AWARD 受賞作品「保育室スマイルエッグス『木の子』

エディター&ライター。エンタメ誌などの編集を経て、出産を期にライターに。ミーハー精神は衰えないものの、育児に追われて大好きなテレビドラマのチェックもままならず、寝かしつけたあとにちょこちょこと読むLINE漫画で心を満たす日々。