『ヒッチコック』(C)2012 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

20世紀を代表する映画監督アルフレッド・ヒッチコックの知られざるエピソードを描いた映画『ヒッチコック』が4月に日本公開されるのを記念して、ハリウッドで活躍する映画人たちがヒッチコック作品について語った。彼らはヒッチコック作品のどこに魅了されているのだろうか?

その他の写真

ヒッチコックが生涯で遺した作品は多く、映画ファンそれぞれが“ベスト・ヒッチコック作品”を持っているだろう。例えば、新作『ゼロ・ダーク・サーティ』が日本でも話題を呼んでいるキャスリン・ビグローのお気に入りは1930年製作の『殺人!』。ヒッチコックが自国イギリスで活動中に発表した作品で、巡業劇団の俳優が殺人事件に巻き込まれるサスペンスだ。ビグローは「決してメジャーな作品ではないけれど、『鳥』『裏窓』といった名作群と同じぐらい緊迫感に満ちている」という。また巨匠ジョン・カーペンターは「『めまい』には度肝を抜かれた。あまりにダークで執拗、そしてパーフェクトな悪夢だが、あれは傑作だ」と言い、『アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウスは「『北北西に進路を取れ』は“映画のすばらしさ”をすべて持った作品だ」と称賛する。

映画人の“ベスト・ヒッチコック映画”はそれぞれだが、その中でも多くの票を集めているのが1960年の『サイコ』だ。『北北西に進路を取れ』の翌年に発表された本作は、アンソニー・パーキンス演じるノーマン青年が経営するモーテルで起こる恐ろしい事件を描き、ジェネット・リーがシャワールームで殺害される場面は映画史に残る名シーンとされている。『レインマン』のバリー・レヴィンソンは「ジャネット・リーほどの大スターを殺すなんて、前代未聞だった」と振り返り、『ブルースブラザース』のジョン・ランディスは「あのエンディングは映画の中でも最高の映像のひとつだ」と語る。

そんな『サイコ』を撮影中のヒッチコック監督とその妻アルマの知られざる物語を描いたのが、間もなく公開される『ヒッチコック』だ。本作では名優アンソニー・ホプキンスとヘレン・ミレンがヒッチコック夫妻に扮し、『サイコ』が誕生するまでの経緯と“サスペンス映画の神様”と称される彼の魅力を描き出していく。

ちなみに、『スクリーム』シリーズのウェス・クレイヴンは「『サイコ』を観て初めてわかったことがある。それは観客がまず恐れるべきモンスターは“映画監督自身”ということだ」とコメント。巧みなストーリーテリングで観客を翻弄し、スクリーンから緊迫感と恐怖を与え続けた巨匠の“恐ろしさの秘密”が、映画『ヒッチコック』では明かされるのではないだろうか。

『ヒッチコック』
4月5日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー