宝塚歌劇花組『ポーの一族』制作発表会見より。明日海りお 宝塚歌劇花組『ポーの一族』制作発表会見より。明日海りお

宝塚歌劇団花組が、漫画史上に残る傑作『ポーの一族』の初の舞台化に挑む。11月16日、原作の萩尾望都も臨席する中、制作発表会が開催された。

宝塚歌劇花組『ポーの一族』 チケット情報

永遠に年をとらず、哀しみをたたえつつ時空を超え旅を続けるバンパネラ“ポーの一族”の姿を描いた物語。会見冒頭ではエドガー役の明日海りお、シーラ役の仙名彩世、アラン役の柚香光が劇中歌2曲を披露。幻想的なパフォーマンスで報道陣を魅了したが、原作の萩尾も「この世のものとも思えぬものを見て、頭がどこかへ行ってしまった」と感激しきり。特に花組トップスター、明日海が扮するエドガーには「心臓がバクバク(笑)。言葉になりません」と絶賛の言葉を惜しまなかった。

一方で原作者を前に劇中の登場人物に扮した明日海は「漫画のキャラクターを立体にしてしまうという、ことの重大さを感じ緊張しました」と語り、「先生の描かれる絵の表情、目の寂しさ、結んだ口の薄さ、後頭部に感じるオーラ……エドガーの存在すべてに魅力を感じています。稽古場でエドガーと呼ばれて「はい」と返事することすら恐れ多いほど特別な役。自分のイマジネーションをフル活用し、小池先生と話しながら、自覚を持って役を作り上げたい」と意気込みを。仙名も「シーラは美しい貴婦人ですが、愛に生きようとする強さやエドガーたちを包み込む優しさがある。女性として魅力的にみえるように作っていきたい」と役作りについて語った。

また、エドガーたちの仲間になるアラン役の柚香は「今回の宝塚での舞台では、アランは一族に入る前の“人間”の状態が長い。今日、エドガーを演じる明日海さんが照明を浴びているのを舞台袖から観て、ゾクっとした。アランもバンパネラを初めて観たときに、このように身の毛がよだつ思いをしたのかもしれない。この感情を新鮮に覚えておきたいと思った」と感想を話した。

演出を手がけるのは、『エリザベート』などのヒット作を数々送り出している鬼才・小池修一郎。『ポーの一族』を上演するために宝塚歌劇団に入ったという逸話を持ち、舞台化を申し出てから30余年を経ての実現となったが、「1985年に宝塚の公演後にコーヒーショップに行ったら、隣の席が打ち合わせ中の萩尾先生だった。こんな機会は二度とないと思い「ファンなんです」とお伝えし、名刺をお渡しした。確かその時に「いつか(舞台化を)やらせてください」とお伝えしたはずです」というエピソードを明かす。その後、当時ミュージカルの脚本を書いていた萩尾が小池に意見を求めたことからふたりの付き合いが始まったそうで「小池先生の作品はとてもセンスが良く、私ごのみ。小池先生ならいつでもOKですよと言っていたのに、(実現まで)こんなに待たされました(笑)」と萩尾。

「私のイメージを超えた美しい世界が目の前に広がるというのが予感できて、今からドキドキワクワクしています」と原作者も期待大の公演は1月1日(月・祝)から2月5日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月16日(金)から3月25日(日)まで東京宝塚劇場で上演される。

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