大手オーディオブランドと動画配信サービス、音響技術を研究する企業が合同で「映画を聴こうプロジェクト」を立ち上げた

11月15日、大手オーディオブランドと動画配信サービスが手を組み、対象のホームシアター関連製品を購入すると、ビデオマーケットが提供する映画約10本分のポイントを配布する「映画を聴こうプロジェクト」を発表した。その狙いと背景を代表者が語る。

今回の企画にコンテンツを提供するビデオマーケットの高橋利樹代表取締役社長は「4Kテレビをはじめとした高画質テレビの需要が伸びつつあることに加え、有料動画配信サービス市場は2016年に1630億円規模に成長し、20年には2340億円に達する予測されている」と市場動向を解説。これを受けて、日本オーディオ協会の校條亮治会長は「『高品質な映像が増える流れに合わせて、音響面の品質も追求しよう』と訴求することが、今回の企画趣旨だ」と説明した。

ビデオマーケットは、高画質な動画を配信するサービスを展開しており、作品数は日本最多の18万本以上。4K動画を取り扱うだけでなく、高音質な規格「DOLBY AUDIO」に対応する作品を60本以上用意している。高橋社長は「高品質な作品を高品質な環境で、もっと多くの人に楽しんでもらいたいと考え、今回のコラボレーション企画に参加した」という。

競合3社が共闘、ホームシアター市場の復活を狙う

ハードウェア側からは、オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパンからオンキヨーとパイオニア、ディーアンドエムホールディングスからマランツとデノン、ヤマハミュージックジャパンからヤマハの、3社5ブランドが参加している。

オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパンの荒木健代表取締役社長は「普段は競合としてシェア争いを繰り広げているが、口を閉ざして睨み合っているわけではない。業界動向や海外の様子など情報交換をすることもよくある。今回はその延長線上」と場を和ませた。

ディーアンドエムホールディングス ジャパン・セールス&オペレーションで代表取締役を務める中川圭史プレジデント兼APAC CFOは、「いい意味での談合。今回は、マーケットシェアを追いかけるのではなく、同じ目的のために集まった。映画を聴くという新しいカルチャーをつくっていきたい」と話した。

ヤマハミュージックジャパンAV・流通営業部の野口直樹部長は、「今まで年末のキャンペーンは個々に打っていたが、ホームシアター市場を活性化するためにはどうすればいいかを考えた結果、今回のキャンペーンにつながった。年末を5ブランドで盛り上げていきたい」と意気込みを語った。

三社とも「業界全体で取り組まなければいけない」という決意を持って、「映画を聴こうプロジェクト」に臨んでいる。校條会長は「家で高画質な映画をみる機器が普及している一方で、聴く機器の普及が追い付いていない。スマートフォンも高機能化しているが、小さい画面で映画製作者の意図を伝えるのは難しい」と指摘。「本プロジェクトをきっかけに、ホームシアター市場が活性化してほしい」と期待する。