湘南ベルマーレ  (C)J.LEAGUE PHOTOS 湘南ベルマーレ  (C)J.LEAGUE PHOTOS

「湘南×鳥栖が気になる」と書くと、「ベルマーレサポ? サガンサポ?」と思われるかもしれない。確かに3月9日(土)にキックオフを迎えるJ1リーグ戦第2節では、浦和レッズ×名古屋グランパスをはじめ、鹿島アントラーズ×ベガルタ仙台にFC東京×柏レイソル、清水エスパルス×横浜F・マリノスなど、好カードがズラリと並んでいる。両チームのサポーターでなければ、両方の土地に縁もゆかりもないが、それでも、湘南×鳥栖が気になる。その心は……。

「湘南ベルマーレ対サガン鳥栖 J1リーグ戦」チケット情報

2000年、湘南は親会社を持たない市民クラブとしてリスタートした。ということは、予算規模は小さい。J1リーグ復帰を果たしたからと言って、大補強は夢のまた夢、強力助っ人獲得もままならない(開幕戦で2ゴールを決めたキリノは献身的な守備と決定力を兼ね備える有能で稀有なブラジル人FWだが)。しかし、そんなことは、曺貴裁監督をはじめ、コーチ、選手全員が理解している。では、戦力で劣るチームが格上のチームばかりのJ1でどう戦えばいいのか? そう、走るしかない。

曺監督は、最終ラインを高く保ち、ひとたびボールを奪うとゴールへ一直線という「湘南スタイル」を徹底する。バルセロナとスペイン代表の影響でみんなが「ポゼッションサッカー」を標榜するのを尻目に、一時代前のイングランド代表よろしく、最終ラインからボールを放り込む「キック&ラッシュ」も辞さない。そして、とにかく、よく走る。開幕戦の先発11名の平均年齢は24.55歳という若さが、走り切るスタミナを可能にする。

もちろん、ただ走れば、試合に勝てるというわけではない。開幕戦はスタメンの平均年齢30.45歳の横浜FMを相手に、後半30分近くまで2-1とリードしながら、結局は2-4で屈した。選手交代を含めた横浜の経験値にしてやられた格好だが試合後、敗者たちは下を向かなかった。

曺監督が「今日はできたこととできなかったことがある。課題は残るが、悪いところはない。悪い点は私のマネジメント不足。私は監督として、選手がチャレンジした結果起こったミスで怒ったことはない」と言えば、MF・高山薫「後半失速せずに踏ん張れれば。(守りに入ることも必要?)守りに入らず攻め続けるのが湘南のスタイルですから、このスタイルを続けたい」とキッパリ。

幸い、湘南のチーム状態は悪くない。そして、「スタイル」を持っている。何よりも、選手たちは前をしっかりと見据えている。

翻って、鳥栖である。鳥栖はJ1初参戦となった昨季、下馬評を覆す5位躍進を果たした。シーズン前は降格候補と目されていた。そんなネガティブな予想を、ハードワークを土台とした堅守で吹き飛ばしたのだ。鳥栖にもビッグネームはいない。それでも、今季開幕戦では大型補強を敢行したV候補・鹿島に追いつき、勝ち点1を手にした。

J1の冒険を始めたばかりで青さが残る湘南と、圧倒的不利の下馬評を見事覆し自信を得た鳥栖。ビッグクラブ同士の対決は無条件で楽しみだが、こちらも少しは気になってきたのでは?  湘南×鳥栖は3月9日(土)・Shonan BMWスタジアムにて。