山本浩二WBC日本代表監督  (C)THE YOMIURI SHIMBUN 山本浩二WBC日本代表監督  (C)THE YOMIURI SHIMBUN

侍ジャパンの1次ラウンドでの戦いぶりに点数をつけるならば、80点となる。「ずいぶん甘い採点じゃない」という声が聞こえてきそうだが、国際大会は勝つか負けるかの結果しか残らない。ご存知のようにB組では、韓国がまさかの1次ラウンド敗退の憂き目に遭った。オランダの躍進を見るまでもなく、野球という競技が持つ独特の格は確実に崩れつつある。

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もちろん、チャイニーズタイペイ、オランダ、韓国、豪州がひしめくB組と、日本とキューバの2強が抜きん出たA組を同列で語り、結果オーライと言うつもりはない。侍ジャパンは1次ラウンドで苦戦したが、決して目いっぱい戦ったわけではないのだ。

山本浩二監督は決戦前から「調子のいい選手から使っていく」と常々語り、キューバ戦前も「2次ラウンドの対戦のこともあるが、それを意識していてはまずい。キューバ戦も目いっぱいいくつもり」と明言している。しかし、この言葉を額面通りに受け取ってはいけない。

果たして、キューバ戦の先発を担ったのは、大隣憲司だった。先発3本柱に指名した内海哲也でも、抜群の安定感を見せる能見篤史でもない。しかも、大隣は2次ラウンド以降を見据え、チェンジアップの多投を控えた。また、本調子に程遠い田中将大も、中継ぎで起用した。エースの復調を願う監督、コーチの温情が垣間見える投手起用だ。さらに、13人のメンバー全員に登板機会を与えた。2次ラウンド初戦で対戦するチャイニーズタイペイが投手13人のうち9人登板したと言えば、山本ジャパンが1次ラウンドをいかに余裕を持って戦っていたかわかるだろう。

打者も同様である。キューバ戦では不調に喘いでいる稲葉篤紀、長野久義がスタメンに名を連ねた。ポイントゲッターである内川聖一は腰の違和感を理由に休養させた。投手だけではなく、15人の野手も全員試合に出場した。くどいようだが、チャイニーズタイペイの野手は15人中13人の試合出場にとどまっている。

山本監督は「一戦必勝」「先を見る余裕はない」と口にしながら、勝負どころとなる2次ラウンドへ向けて準備を着々と進めていたと見るのは、楽天家だろうか。それもこれも、すべて2次ラウンドでわかる。

1次ラウンドの戦いぶりではチャイニーズタイペイ、オランダ、キューバとの2次ラウンドは勝ち抜けないだろう。もちろん、出る選手出る選手が仕事をこなし、スカッと勝ち抜けなんて、望むわけではない。しかし、一戦必勝の態勢で臨めば、日本は苦しみながらも勝ち抜けるだけの力は十分ある。

二次ラウンドは3月8日(金)から12日(火)まで、東京ドームにて開催。チケット発売中。