『八犬伝』が開幕。阿部サダヲがめちゃくちゃなヒーローに!

2013.3.11 12:29配信
M&Oplaysプロデュース『八犬伝』 M&Oplaysプロデュース『八犬伝』

“大義”のもと、同じ玉・同じあざを持つ八犬士が、里見家再建のため戦いを挑む。滝沢馬琴原作の長編伝奇小説『里見八犬伝』が、阿部サダヲ主演で舞台化。M&Oplaysプロデュース『八犬伝』として、3月8日、東京・シアターコクーンにて開幕した。

舞台『八犬伝』チケット情報

強欲な伯母夫婦の策略により父を失った犬塚信乃は、代々受け継がれてきた名刀・村雨を足利家に献上するため、許嫁の浜路を置いて旅に出る。そんな信乃の体には生まれつきのあざがあり、浜路の家の下男・額蔵(後の犬川荘助)にも同じあざが。さらに信乃は“孝”、額蔵は“義”の文字が刻まれた玉を持っていることがわかる。不思議な運命に導かれるように仲間となったふたりは、足利家へと急ぐのだが…。

映画やドラマ、歌舞伎など、さまざまなジャンルの作品が作られてきた『八犬伝』。しかし今回の青木豪台本、河原雅彦演出版の舞台は、そのいずれとも異なる。観客は随所に散りばめられた笑いに頬をゆるめ、迫力満点の殺陣に息を飲み、原作とは異なる意外なラストに人間の愚かさと愛おしさを知る。そして作品から一貫して感じられる疾走感。江戸時代に誕生した戯曲ながら、青木と河原が作り出したのは、間違いなく“現代のエンタテインメント”である。

そしてその大きな要因を担ったのが、やはり信乃役の阿部の存在だ。実はその予感は、阿部の叫び声で始まる幕開けからあった。八犬士のヒーローとも言える信乃だが、阿部演じる信乃はとにかくめちゃくちゃな男。さらにテンションの高さと絶妙な間で爆笑を誘い、ひとたび剣を握ると踊るように舞台上を駆け回る。特に殺陣シーンは、阿部自身「苦労、大変、楽しい、すべてにおいて殺陣です!!」と言い切るほどの力の入れようだった。

信乃以下の八犬士を演じるのは、荘助役の瀬戸康史ほか、津田寛治や中村倫也、近藤公園といった多彩な面々。それぞれにドラマがあり、物語に厚みを加える役どころだけに、しっかり芝居で見せられる巧者がそろった。また作品の鍵を握るゝ大(ちゅだい)法師役の田辺誠一、初舞台ながら女優としての多面性を見せた浜路役の二階堂ふみにも注目したい。

本作のもうひとりの主役と言えば、幕開けとともに登場する和太鼓。音は役者たちと競演し、さらに座席を伝う振動は観客をこの物語世界にグッと引き込む。中でも緊張感あふれる殺陣シーンは、和太鼓なくして表現することはできなかっただろう。

公演は3月31日(日)まで。その後、4月4日(木)~10日(水)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、4月13日(土)・14日(日)に刈谷市総合文化センター 大ホールでも上演。いずれの公演もチケット発売中。

取材・文:野上瑠美子

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