凰稀かなめ  撮影:奥村達也 凰稀かなめ  撮影:奥村達也

幸せの絶頂にあった青年エドモン・ダンテスが、身に覚えのない罪を着せられ、復讐の鬼と化す様を描いた、アレクサンドル・デュマの名作『モンテ・クリスト伯』。これまでに幾度となく映画化、舞台化され、『岩窟王』のタイトルでも知られる本作が、宝塚歌劇でミュージカル化。宙組公演として上演される。開幕を前に、“復讐に燃える男”という新たな役柄に挑むトップスター・凰稀(おうき)かなめに、その心境を訊いた。

宝塚歌劇宙組『モンテ・クリスト伯』チケット情報

本作は、裏切りや復讐心が渦巻く、宝塚歌劇では異色の物語。凰稀も新たな一面を切り開こうと、気合いが入る。「ダンテスを演じることで役者としての幅も広がると思いますし、どこまで悪の感情をむき出しに出来るか、リアル感を追求していきたいです。登場人物のほとんどが悪い人間なので、お客様はビックリされるかもしれませんね(笑)」。

しかし、復讐への想いや怒りに満ちた役柄を演じるのは、ひと筋縄ではいかない。「みんなが困っている姿を見るのは楽しいですよ(笑)」と、いたずらっぽい笑顔を浮かべながらも、その難しさを語る。「ダンテスは、小さな幸せをとても大きな幸せと感じるほど、本当はすごく人がいいんです。だからこそ、悪い人物にだまされておとしめられてしまうのだと思います。幸せの絶頂からどん底に落とされ、復讐してむなしくなり、最終的には人を許すところまで辿り着かなければならないのですが、限られた時間の中で、その心の動きをどこまで表現できるか、すごく難しい課題です」。

第2部『Amour de 99!! -99年の愛-』では、99年の歴史の中で繰り広げられてきたショーやレビューの名作、名場面などを盛り込んだショーを展開する。「近年亡くなられた演出の先生方へのオマージュや、OGの皆様への感謝、応援してくださった方々への愛が詰まったショーです。まずは、紳士淑女が華やかに登場するプロローグで、タカラヅカレビューの魅力をしっかりお伝えしなければ」。そんなプレッシャーを感じつつも、「ショーでも新境地開拓を」と意気込む。「今回、ラテン系やアフリカンビートのような、太鼓を使う曲が多いので、これを機に太鼓が似合う男役になりたいです(笑)。何よりも、お客様に楽しんで頂けることをいちばんに考え、感謝の気持ちをこめてお届けしたいですね」。

公演は、3月15日(金)から4月15日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、5月10日(金)から6月9日(日)まで東京・東京宝塚劇場にて。チケットは兵庫公演が発売中、東京公演が4月7日(日)午前10時より一般発売開始。

取材・文:黒石悦子

「ウレぴあ総研」更新情報が受け取れます