『天使の分け前』特別試写会の模様。バーテンダーさんなのでビシッとしています。

カンヌ映画祭で審査員賞に輝いたケン・ローチ監督作『天使の分け前』が4月に日本公開されることを記念して、“バーテンダー”60人を集めた特別試写会が行われた。劇中でスコッチウィスキーが重要な役割を果たすことにちなんで開催されたイベントだが、お酒のスペシャリストは本作をどう見たのだろうか?

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タイトルの“天使の分け前”とは、熟成中に蒸発して消えてしまうウィスキーのことで、樽の中の約2パーセントほどが1年間に消えていくという。映画はスコッチウィスキーの故郷スコットランドを舞台に、育った環境が悪く、職もなくケンカばかり繰り返していた青年ロビーが、ウイスキーのテイスティングの才能に目覚めたことから、人生の新たな一歩を踏み出そうとする姿を描いている。

特別試写会には、お酒の専門家であるバーテンダー約60人が集結したが、上映後のアンケートでは92.5パーセントが本作を“大変良い/良い”と回答。日本バーテンダー協会銀座支部長の須田さんは「スコットランドの情景が楽しめ、スコッチを通しての色々な物語があることが感じられる。たくさんの方に薦めたい」、バー保志の脇坂さんは「あの美しい地でウイスキーが育まれているんですね。ウイスキーが主人公の新たな人生のきっかけになる。それはとても素敵なこと」とコメント。映画で描かれる主人公ロビーの成長劇や、彼をとりまく人々とのドラマにも高い評価が集まっており、世界の映画祭で賞賛され続けてきたローチ監督の実力が改めて証明された。

ちなみに日本バーテンダー協会特別顧問の中村さんによると「実はウイスキーは体によい。糖分がない。プリン体もない。メラニンも抑制するんです」とのこと。劇中にはウィスキーの魅力を描いた場面も多く登場するそうで、本作は、観賞後にバーでウィスキーをじっくりと楽しみたくなる作品に仕上がっているのではないだろうか。

『天使の分け前』
4月13日(土)より銀座テアトルシネマほか全国順次公開