『恐怖と欲望』

スタンリー・キューブリック監督が自らの手で封印していた幻のデビュー作『恐怖と欲望』が5月に日本で劇場初公開されることが決定した。

『恐怖と欲望(原題:Fear And Desire)』は、キューブリックのデビュー作と言われる『非情の罠』よりも前に低予算で作られた自主制作映画。わずかなキャストとスタッフで製作され、公開時は批評家などから好評だったものの、完璧主義者として知られるキューブリックが「アマチュアの仕事」と、本作のプリントをすべて買い占めてしまったため、ファンの間で“幻の作品”と言われていた。

半世紀以上もの間、眠っていた本作が再び日の目を浴びたのは、昨年3月にニューヨークのリンカーン・センターで行われた特集上映で、大きな話題となった。現在、残されたプリントはわずか1本で、ニューヨーク・ロチェスターのコダック・アーカイヴに保管されているという。

『恐怖と欲望』は、世界のどこかの国で起こっている戦争をテーマに、爆撃を受け敵地の森へ墜落した4人の兵士たちの姿を描いた衝撃作。本作でキューブリックは、監督、製作、撮影、編集を担当し、脚本はハロルド・サックラー(『非情の罠』『ジョーズ2』)が、出演者には『非情の罠』にも出演したフランク・シルヴェラや、後に『ハリーとトント』などを監督することになるポール・マザースキーらが名を連ねている。

『恐怖と欲望』
5月3日(金)オーディトリウム渋谷ほか全国順次公開