写真左より矢野大輔通訳、アルベルト・ザッケローニ監督、原博実技術委員長 写真左より矢野大輔通訳、アルベルト・ザッケローニ監督、原博実技術委員長

3月14日、日本サッカー協会は3月23日(土)の『国際親善試合』カナダ戦と、3月26日(火)に行われる『W杯アジア最終予選』のヨルダン戦に臨む日本代表メンバー23名を発表した。長谷部誠、遠藤保仁、香川真司らがメンバーに選出された。ケガで戦線離脱中の本田圭佑、長友佑都は選から漏れたが、この決断はザッケローニ監督の新たな一面を表している。

「ヨルダン代表vs日本代表」パブリックビューイング チケット情報

指揮官は、カナダ戦の目的を次のように語った。「カナダ戦はヨルダン戦対策のための試合ではない。選手のコンディションを把握するために多くの選手を使いたい」。13名の欧州組はシーズン終盤を戦っている。一方、10名のJリーガーたちはシーズンが始まったばかり。コンディションの見極めこそ、勝てば5大会連続となる『W杯』出場が決まるヨルダン戦の鍵となるのだ。

ザッケローニは続ける。「ヨルダン戦に勝つには自分たちの特長を最大限に出すことが大事。我々の長所が出ている時は、リズムがいい。ペースを上げ、リズムを出すにはコンディションが重要」。

話を本田、長友に戻そう。両者とも無理をすればヨルダン戦に出場できるかもしれない。だが、イタリア人監督は、ふたりがただ試合に出場するだけではよしとしない。ザッケローニは選手たちに90分間戦い抜くトップフォームを求めているのだ。

トップ下の本田、左サイドバックの長友を欠く日本代表に不安はないのか。ザックは「ふたりのことを私も高く評価している。ただ、彼らの代わりにポジションに入った選手が活躍してくれると思うし、今までも活躍してくれている」と語る。では、トップ下に入るのか誰か。香川か中村憲剛か、どちらの選択肢をチョイスするのか。「ふたりともタイプが違う。ケンゴはMFタイプで中盤のバランスを取る。シンジはセカンドストライカータイプ。ホンダの代役は左右のFWを誰にするかが重要となる。左右のFWを決め、2列目の3人のバランスを取りたい。各々のコンディションを見て決めていきたい」。

ザッケローニは今まで所属クラブで出場機会がなかった長谷部を起用し続けたり、スタメンは固定メンバーだった。だが、今回は名前よりもコンディションの方が優先順位が高くなった。これは大歓迎である。

ザックジャパンは遠藤が不在の時はボールが回らなかったり、本田がいない時はボールをキープできなかったり、長友を欠くと左サイドからの攻撃が激減するなど、キーマンの存在感が大きかった。だが、ひとりのタレントに頼り切ったサッカーでは心許ない。理想は誰が出ても、日本らしいサッカーを変わらず繰り広げることだ。

3月26日(火)・アウェイに乗り込むヨルダン戦は、その絶好の試金石となる。そして、ザックジャパンが本田&長友の不在を感じさせないサッカーを展開した時、『W杯』出場の歓喜の瞬間を迎えることになる。

ヨルダン戦はパブリックビューイングを開催。『2014FIFAワールドカップ アジア最終予選 パブリックビューイング in 埼玉スタジアム2002 ヨルダン代表vs日本代表』はチケット発売中。