映画『ヒッチコック』公開記念イベント

“サスペンスの神様”として今も崇められる映画監督アルフレッド・ヒッチコックの知られざるエピソードを描いた映画『ヒッチコック』の公開記念イベントが14日に都内で開催された。

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ヒッチコックの代表作であり、本作でもその舞台裏を描いている『サイコ』の題名にちなみ、3月15日が“サイコの日”として日本記念日協会に登録された。その前日祭として行われたイベントには、ヒッチコック愛好家=ヒッチコキアンとして知られる映画作家の大林宣彦をはじめ、評論家の滝本誠氏と細越麟太郎氏が出席し、ヒッチコック談義に花を咲かせた。

映画は「ピークを過ぎた」と囁かれたヒッチコックが一念発起し、名作『サイコ』を完成させるまでの復活の道のりを軸に、彼を支え続けた妻で脚本家のアルマとの関係にスポットを当てた。アンソニー・ホプキンスとヘレン・ミレンというアカデミー賞受賞俳優ふたりが、生前アカデミー賞と無縁だったヒッチコックとその妻を演じるという絶妙なキャスティングも大きな見どころだ。

冒頭、滝本氏が大林監督によるAKB48の長編PV『so long』について触れると、大林監督は「ヒッチコックが『サイコ』を撮ったのと同じ。つまりテレビ時代の到来期に、テレビ局のスタッフたちを集めて、映画を撮ってやろうという試みだった。だったら、俺がAKBを撮ったらどうなるか…ということだね」と持論を展開。「今はリアルを追及する時代だけど、本来映画とはだまし絵のように、観客の感情をあぶり出し、想像力を駆り立てるもの。それこそがヒッチコック演出の魅力だと思うし、この映画をきっかけに若い世代にもヒッチコックの偉大さを知ってほしいね」と熱弁した。

細越氏は映画『サイコ』(1960)の日本公開時、来日を果たしたヒッチコック&アルマ夫人と対面しており「アルマ夫人は、編集者としてヒッチコック作品に数多く参加しているが、パーティなどではヒッチコックが主役になれるように、つつましく“影の存在”に徹していた」と述懐。ヒッチコックがアルマ夫人に休暇を与えるために、あえて船旅での来日を選んだと明かし、会場に駆けつけた映画ファンも熱心に耳を傾けていた。

『ヒッチコック』
4月5日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー