『シュガー・ラッシュ』を手がけたリッチ・ムーア監督

ディズニーの最新アニメーション映画『シュガー・ラッシュ』が23日(土)から公開される。本作はすでに公開されている国で興収・批評ともに大成功をおさめている。本作を手がけたリッチ・ムーア監督に話を聞きながら、一見普通のCGアニメに見える本作のどこがスゴいのか探ってみたい。

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本作は子どもたちから愛されない自分に嫌気がさしてしまった悪役ゲームキャラのラルフが、お菓子の世界で繰り広げられるエキサイティングなレース・ゲーム“シュガー・ラッシュ”の世界で少女ヴァネロペに出会い、ゲーム界の運命を揺るがす災いに立ち向かう姿を描いている。

この映画でまず驚かされるのは、異なる世界観、頭身、ルックを持つゲームキャラが同じ空間の中で違和感なく会話し、ひとつのドラマを作り上げていることだ。ドラえもんとゴルゴ13が同じ空間にいたら多くの人が違和感を感じるだろう。しかし、本作では異なるゲームキャラが同じフレームの中で自然に描かれている。ムーア監督は「それが最も大きなチャレンジだったよ」と笑顔を見せる。「昔ながらのカクカクしたキャラもいれば、最新のゲームが舞台の場面もある。本当に個性の違うゲームが登場するので、そのゲーム特有の風合いを残すことに気を配りました。もちろん、1本の映画として観たときには統一感がないとダメだよ。でも作業をしていると画は自然とひとつのスタイルに近寄ってしまうので、逆にゲームごとの世界観をしっかり残すことにこだわったんだ」。

もちろん、入念に検討され設計されたビジュアルは映画の“骨組み”に過ぎない。ムーア監督はドラマを描く際にもしっかりと準備をしたようだ。「この映画はビデオゲームの裏側を舞台にしているから、観客は当然のようにアクションやコメディを期待している。でも僕はそれはやった上で、“意外な驚きや感動”を描きたかった。だから、主人公のラルフに共感してもらえるように、しっかりとした1本の伏線を映画の中に置くことにしたんだ。だから画面上ではアクションやコメディが描かれていても、その下には明確なキャラクター設定があって、そのキャラクターは明確なゴールをもっている。そのことが観客の共感を呼ぶ最大のポイントになったと思うよ」。

『シュガー・ラッシュ』
3月23日(土) 全国公開