一人芝居の匠・入江雅人が、集大成に挑む

2013.3.18 16:30配信
入江雅人 入江雅人

スペクタクルと一人芝居。普通なら結びつかない両者が、この人の舞台では同義語と化す。過去作品のベスト・セレクションで構成する次回公演『MY GREATEST HITS2』を前に、入江雅人にその極意を訊いた。

100本近くにおよぶレパートリーの中から今回の目玉としてリメイクするのが、『東京大パニックメガネ』と題した長編だ。入江の作風を説明するとき、この作品を例に挙げるとわかりやすい。「簡単に言うと、宇宙からの侵略モノです。流星群が降ってきた次の日の朝、宇宙から飛んできたメガネによって、東京にパニックが起き始める。それを何とかしようとする人たちの話です」。一人の人物になりきるのではない。数十人を演じ分けながら、群像劇という枠さえ超えて、大都市そのものを体現してしまうのだ。

観客にとっては、映画を鑑賞する感覚に近いだろう。「スケールの大きさは確かにありますね。もともと、1か所でずーっとブツブツ言っているような一人芝居に興味がなかったんです。それと、停滞する時間は作らないようにしているので、退屈している間はないと思います」。見せ場も、自己陶酔型の俳優のようにたっぷりと演じたりはしない。膨大な情報量が、編集された映像のように、高い純度で観客に届く。それは、演出家・入江の客観性がなせる技だ。

原点は、今から20年以上前、ウッチャンナンチャンらと共に活動したSHA.LA.LAの舞台にさかのぼる。「劇中に一人でしゃべり続けるシーンを内村(光良)くんが書いてくれるようになって、それが少しずつ増えていったんです。その後、深夜番組でも『雅人の部屋』というコーナーで毎週一人芝居を演じるようになったりして。劇場で公演を行うようになったのは、それからですね」。以降、『俺ライブ』『W1(ワンダーワン)劇場』など呼称を変えながら、断続的に開催してきた。

7年のブランクを経て再開した2010年以降は、年に1度のペースをくずさない。「若い役が似合わなくなった一方で、人生を経験してきた分だけ深みが増してきたと思えるようになって。立川談志さんのドキュメントを見たことも大きかったですね。いくつになっても芸を極めようとする姿が壮絶で、自分はあの境地には到底およばないと思いました」。

入江雅人グレート一人芝居『MY GREATEST HITS2』は、4月5日(金)から7日(日)まで東京・CBGKシブゲキ!!、4月11日(木)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、4月13日(土)に福岡・イムズホールにて上演される。初めて地方公演も行う今回は、名刺代わりとなるような王道の作品がセレクトされるほか、ブルー&スカイが書いた学園モノなど幅広いラインナップになる予定。出演者数は最少だが、生み出される劇的効果は大きい。その真髄に触れられる絶好のチャンスだ。

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