<家電激戦区を歩く>大阪・大阪市(2) 広い店舗と豊富な品揃えで集客 「わかりやすい売り場」をつくる

2013.3.25 11:30配信
ヨドバシカメラマルチメディア梅田のフロア構成

大都市・大阪の家電量販店には大型店が多い。広いフロアに多くの品々を並べ、どこに目当ての商品があるのか見つけやすいレイアウトにしたり、POPで商品の用途が把握できるようにしたりするなど、さまざまな工夫を凝らしながら、集客に成功している。また、他店にはない商材を揃えることで差異化を図るパソコン専門店や、大阪での成功をもとに全国展開を進める店舗などもある。(取材・文/佐相彰彦)

→大阪・大阪市(1)から読む

<店舗>

●幅広い層が来店するキタとミナミ お得意様を確保する電気街

大阪の二大繁華街、JR大阪駅周辺の「キタ」と、難波駅周辺の「ミナミ」には、大手家電量販店が旗艦店を構えて多くのお客様を獲得している。

大阪の家電量販店のなかで、売上高や来店者数でトップといわれるヨドバシカメラマルチメディア梅田は、ターミナル駅のJR大阪駅や地下鉄梅田駅に直結していることもあって、平日は会社員や学生などでいつも賑わっている。レストランや専門店がテナントとして入る商業複合施設なので、街を訪れる主婦層などがついでに日用品を購入するために立ち寄ることもしばしば。休日には、ファミリーや若いカップル、観光客などでごったがえす。濱田光太副店長は、「本当に幅広い年齢層のお客様が来店してくださる。2万m2という広い売り場面積を生かして、誰もが楽しめる売り場づくりに力を入れている」という。

「ミナミ」では、商業複合施設のなんばパークスに隣接するヤマダ電機LABI1なんばが、「平日の午前中は近所の主婦層、夕方は難波駅を利用する学生の来店が多い。夜は、帰宅途中の男性会社員が電車やクルマで来店して、品定めや店員に質問をして帰る光景もよくみられる」(築田啓司副店長)という。こうした男性会社員は、休日に改めて家族を連れて来店して商品を購入するという。

一方、日本橋電気街の「でんでんタウン」はキタとミナミの大型家電量販店に客を奪われたといわれてはいるが、上新電機のデジタル機器専門店、J&Pテクノランドでは、パソコンを主力商材に、「他店とは違う目線で店づくりをすることで、お得意様の確保に成功している」と、川井彰店長は自信をみせる。売り場面積は3500m2と大型家電量販店に比べて小さめだが、「デジタル機器の専門店のなかでは大型店舗に位置づけられる。ごちゃごちゃと商品を展示するという専門店らしい売り場ではなく、お得意様がゆっくりと商品を選ぶことができる売り場づくりを心がけている」という。

●【売り場】見つけやすくて楽しい売り場 全体が見える安心感を提供

大阪の家電量販店は、お客様の気質について「早く目当ての商品を購入したいという気持ちが強い」と口を揃える。各店とも、こうしたお客様がストレスを感じることなく、スムーズに商品を選択して、気もちよく購入できるように工夫を凝らしている。

ヨドバシカメラマルチメディア梅田では、「各フロアのレイアウトはフロア責任者などの現場に任せている」(濱田副店長)という。「家電」「パソコン本体」「携帯電話」など、大まかなカテゴリは決めているが、そのなかでレイアウトについては、「お客様の声を聞いている現場が担当したほうがいい」との判断だ。なかでも、お客様の興味を引くために天井から吊しているPOPは非常に凝っている。各製品の機能をわかりやすく解説していることに加えて、最適な用途など記して、お客様に合った商品選びができるよう配慮している。もちろん、そのPOPで商品を選んだお客様には、デモで商品を実際に体験してもらうという演出も欠かさない。

ヤマダ電機LABI1なんばは、「高齢者も来店するので、什器を低くして全体を広く見渡すことができる売り場づくりを心がけた」(築田副店長)という。また、例えばロボットクリーナーのデモは、実際の家庭にあるレイアウトの部屋を仕立てて実施するなど、「ご自宅で使うことをイメージしてもらうことがポイント」という。

単独店舗だけではなく、複数の店舗を使った売り場づくりに力を入れているのが、パソコン専門店のユニットコムだ。でんでんタウンでは、自社ブランドのパソコンを中心に初級者や中級者などを対象とするパソコン工房本店、組立てパソコン用パーツを求める学生を対象とするフェイス大阪日本橋店、古くからでんでんタウンに来ているお客様を対象とするTwoTop日本橋の3店舗を同じ通りで展開。とくに新規客が多いパソコン工房本店では、さまざまなコーナーでパソコンのデモを実施し、「いろいろな性能のパソコンがあることを店内で理解していただき、お客様に最適なモデルを選んでもらう」(中原聡店長)ということに留意しているという。

●【品揃え】何でも揃う圧倒的な品数 他店にはない商品で差異化

大阪には、品揃えに自信をもつ家電量販店が多い。ヨドバシカメラマルチメディア梅田では、「当店で揃わないものはない。さらに、どこかのコーナーで毎日のように必ず新しい商品を販売するようにしている」(濱田副店長)という。ヤマダ電機LABI1なんばも、「約2万点のアイテムが武器」(築田副店長)だという。一つの店舗でお客様が望むすべての商品が購入できる環境を整備。そのため大阪には、キタとミナミでの買い回りが少ない特性もある。

一方、でんでんタウン内の上新電機J&Pテクノランドでは「他店にはない商品を揃えている」(川井店長)という。例えば、「外国観光客や学生に受けがいい」というロボットや機械工作関連の商品が挙げられる。また、多くの家電量販店がコーナーを縮小しているパソコンソフトも、1フロアまるごとを使って販売。「他店で売っていないことを逆手に取って、従業員がさまざまなソフトに習熟する環境を整えた。例えば業務ソフトは、各メーカーの製品を比較して説明することで購入につなげている」という。さらには、大判プリンタやCAD高速プロッタなども揃えて、「特定の法人をお客様として獲得している」と自信をみせる。

でんでんタウンでは、ドスパラなんば店が、「まず当店でテスト販売してから全国の店舗に展開するケースが多い」(早稲本誠人副店長)と、パイロット店としての役割を果たしている。店に入るとすぐ目につくのが、フロアの半分近くを占めるスマートフォン。「当初は違和感を覚えるお客様がいたようだが、これを置いたことで『店に入りやすい』というお客様も多かった」。結果的に販売が好評だったことから、今ではドスパラのさまざまな店舗で販売している。

→大阪・大阪市(3)に続く

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年3月18日付 vol.1473より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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