『レトロの愛情』舞台あいさつの様子

開催中の第5回沖縄国際映画祭で、〈地域発信型映画〉として招待されている『レトロの愛情』、『いなべ』が上映され、スタッフ、キャストらによる舞台あいさつが行われた。

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〈地域発信型映画〉は、各地域の生活、伝承、物産や観光情報などを盛りこみ、その土地ならではの映画作品を制作するというプロジェクト。今年で3回目を迎え、国内6地域と沖縄の5地域、さらに香港でも制作を敢行した。この日上映された『レトロの愛情』と『いなべ』は、それぞれ福岡県と三重県で撮影された作品。

『レトロの愛情』は、観光地に変わってしまった故郷に複雑な思いを抱く青年を追った1作。出演した「ロバート」の秋山竜次と馬場裕之は、自身の出身地でもある北九州市門司区での撮影に、「同級生のお父さんとかが話しかけてきてくれるんですよ。“あれ、誰のお父さんやったっけ?”ってなるのを相手に気づかせずにあいさつするのがうまくなりました(笑)。子供のころから遊んだりしてた場所で映画を撮影しているというのが、とても不思議な感じでしたね」(秋山)とコメント。撮影協力者をFacebookで募集するという変わった手法が採られ、のべ300人もの人々が参加したという。

一方、『いなべ』は長く疎遠だった姉の突然の帰郷に揺れる弟の心情を描いた作品。出演した「ハイキングウォーキング」の 松田洋昌は実際には富山県の出身だが、「いなべ市は初めてでしたが、自分の田舎と似た風景が多くて、俺、ここで生まれ育ったんじゃないかなって(笑)。ふたつめの故郷ができた気分です」と充実した撮影だったことを明かした。初の役者業に関しては、相方の鈴木Q太郎も「ジョニー・デップにひけをとらない」と大絶賛。それに対し、「このままひとりでやっていきたいなと思いました」と応え、会場の笑いを誘った。

最後に『レトロの愛情』を監督した岡太地監督は、「この映画が門司港の人たちのためになっていればうれしいです。いい経験になりました」とあいさつ。続いて『いなべ』の深田晃司監督も、「いなべ市の人たちは映画にとても理解がある方ばかり。いなべ市を知らない人や、いなべ市出身で離れて暮らしている人たちに観てほしい」と作品をPRし、会場は和やかな雰囲気に包まれた。

《第5回沖縄国際映画祭》
〜3/30(土)まで

取材・文・写真:渡部あきこ

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