(左から)田中奏生、前田敦子、成宮寛貴

開催中の第5回沖縄国際映画祭の特別招待作品に招かれた『クロユリ団地』の上映が行われ、主演の前田敦子、成宮寛貴、中田秀夫監督らが舞台あいさつに登壇した。

その他の写真

本作は、ある団地に引っ越してきた女性が、隣室から聞こえる奇妙な音をきっかけに恐ろしい出来事に巻き込まれていくホラー作品。一般客を集めて上映されるのはこの日が初めてということもあり、中田監督は「ラフ&ピースがテーマの映画祭においては、真逆の作品ですが、今日は楽しんでください」とコメント。前田も、「悲鳴を聞いて、沖縄のみなさんはすごく元気だな〜と思いました。作品を持って映画祭に参加するのは初めてなのですが、いい思い出になります」とうれしそうにあいさつした。

W主演を務めた前田と成宮だが、意外にも本格的なホラーは初挑戦。撮影現場での様子を尋ねられた前田は、「現場も怖いのかなと思っていたけど、監督が現場は楽しいほうがいいと言っていろいろ笑わせてくれました」とコメント。一方、成宮は「僕が会ったときの前田さんは悪霊に生気を吸い取られていくところで、メイクが本当にすごくて、全然かわいくなかったんですよ(笑)。いつも体調が悪そうで、“大丈夫?”って言ってチョコレートをあげたりしていました」と撮影を振り返り、会場を沸かせた。

その後、マスコミ向けのフォトセッションを前にステージ上が暗転。すると、バックに設置されたパネルの中から、本作の重要なキャラクター、ミノルを演じた子役の田中奏生が現れ、会場からは一際大きな悲鳴が。突然の出来事に前田は「びっくりしました! 来ないって聞いてたのに!」と驚きを隠せない様子だったものの、この事実を唯一知っていた中田監督は、サプライズの大成功にご満悦の表情。実はこのミノルくん、監督いわく『リング』シリーズの“貞子”を超えるキャラクターと語っており、近々貞子との対談させることを目論んでいるのだとか。監督に促され、劇中さながらの鋭い、“睨み”を披露した田中くんに、会場からは惜しみない拍手がおくられた。

最後に前田は、「孤独なキャラクターたちの心情が、すごくきちんと描かれていてリアルなホラーになっていると思います。それぞれの孤独を感じとってもらいたいです」とあいさつ。成宮も「孤独とは、誰しも持っている感覚。それを日本ならではの団地という舞台で描いたザ・ジャパニーズホラーです。ぜひ怖がって楽しんでください」と締めくくり、大盛況のまま舞台あいさつは終了した。

『クロユリ団地』
5月18日(土)公開

《第5回沖縄国際映画祭》
〜3月30日(土)まで

取材・文・写真:渡部あきこ