フランス・ブリュッヘン フランス・ブリュッヘン

古楽(※)の巨匠フランス・ブリュッヘンが、「今、自分がもっとも愛する二つのオーケストラ」と評する18世紀オーケストラ、新日本フィルハーモニー交響楽団とともに、4月4日(木)から15日(月)まで、すみだトリフォニーホールで全4夜にわたるプロジェクトを開催する。

「ブリュッヘン・プロジェクト」の公演情報

1934年オランダ生まれのフランス・ブリュッヘンは、1950年代からリコーダー奏者として活躍した後、盟友であるグスタフ・レオンハルト、ニコラウス・アーノンクール、クイケン兄弟らとともに、古楽の草分け的存在に。1981年に私財を投じて18世紀オーケストラを結成して以降は、指揮者へと転進。特にハイドンやモーツァルトの作品解釈において高い評価を受けている。

古楽界の巨匠にとっては、1973年の初来日から40周年の節目にあたる今回のプロジェクト。なかでも注目は、4月4日(木)から6日(土)の3日間に行われる18世紀オーケストラとの11年ぶりの日本公演だ。しかもブリュッヘンが彼らと日本公演を行うのは今回が最後になるという。プログラムは、モーツァルト、ベートーヴェンの交響曲など同楽団が自家薬籠中とする曲目に加え、ユリアンナ・アヴデーエワとの共演で近年評判となったショパンのピアノ協奏曲。計3夜でブリュッヘン&18世紀オーケストラの代名詞的プログラムと最新の活動を披露する恰好だ。

今では当たり前に浸透した「古楽」というアプローチも、ブリュッヘンたちが取り組み始めた当時は多くの批判にさらされたという。現在のクラシック音楽シーンに多大なる影響を及ぼしてきた彼らの集大成を日本で聴ける最後のチャンスとなるだろう。

プロジェクト最終日の4月15日(月)には、これまでも名演を繰り広げてきた新日本フィルハーモニー交響楽団と共演。2009年の「ハイドン・プロジェクト」、2011年の「ベートーヴェン・プロジェクト」での鮮烈なインパクトもまだ記憶に新しいところ。今回披露するのは、2005年の初共演時にも取り組んだシューベルトの交響曲。共演を重ねる度に新たな感動をもたらし、厚い信頼で結ばれているブリュッヘンと新日本フィル。両者の蜜月がいかに深化しているかに注目したい。

ブリュッヘン・プロジェクト《18世紀オーケストラ&新日本フィルハーモニー交響楽団》は、4月4日(木)・5日(金)・6日(土)・15日(月)にすみだトリフォニーホールで開催。チケットは発売中。

(※)ルネサンス、バロック期の音楽の総称。または、楽曲が誕生した当時の様式に基づく楽器や演奏法を取り入れた手法の意。