『天使の分け前』(C)Sixteen Films Ltd. Why Not Productions S.A.. Wild Bunch S.A.. Urania Pictures. Les Films

ケン・ローチ監督の新作『天使の分け前』が4月13日(土)より公開される。英国ではローチ作品最大のヒットを記録したが、日本でも予告編を観た観客からの問い合わせが多く、ヒット作になるのではと関係者が期待を寄せているという。

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タイトルの“天使の分け前”とは、熟成中に蒸発してしまうウィスキーのことで、樽の中の約2パーセントほどが1年間に消えていくという。映画はスコッチウィスキーの故郷スコットランドを舞台に、劣悪な環境で育ち、職もなくケンカばかり繰り返していた青年ロビーが、ウィスキーのテイスティングの才能に目覚めたことから、人生の新たな一歩を踏み出そうとする姿を描いている。

『麦の穂をゆらす風』『ケス』などで一貫して、社会の底辺で生きる人々を描いてきたローチ監督だが、本作でも低所得で苦しい生活を強いられている市井の人々が奮闘して希望を見出していく姿をユーモアを交えて描いている。本作で監督のキャリア最大のヒットを記録したというイギリスでは、このような“笑えて泣ける”市井の人々を描いた秀作が多い。例えば『フル・モンティ』では失業中の男たちが人生の一発逆転を狙ってストリップに挑む姿を描き、『ブラス!』では閉鎖騒動が持ち上がっている炭鉱を舞台に人々が生きる活力を見つけ出していくまでを描いて高評価を得た。『天使の分け前』も設定こそ違うが、これらの作品と共通する雰囲気があるようで、GQ誌は本作を“スコットランド版フル・モンティ”と評している。

ちなみにこれらの作品は日本でもロングラン上映されて大ヒットを記録しており、『天使の分け前』が『フル・モンティ』や『ブラス』そして『リトル・ダンサー』のような人気を得ることができるのか楽しみだ。

『天使の分け前』
4月13日(土)より銀座テアトルシネマほか全国順次公開