『ヒプノティスト-催眠-』

北欧の最新映画をまとめて上映する特集“The North side もうひとつの北欧”が5月4日(土)から東京のヒューマントラストシネマ渋谷で開催される。『ショコラ』や『親愛なるきみへ』などで知られるラッセ・ハルストレム監督が初めて手がけたスリラー作など、秀作3本が集まった。

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本企画で最注目なのは、心温まるドラマを描いてきたハルストレム監督の最新作『ヒプノティスト-催眠-』。本作は、一家惨殺事件を生き延びた15歳の少年と、事件の手がかりを得ようとする刑事が召還した精神科医を主人公にしたスリラーで、北欧圏でベストセラーを記録した同名小説を映画化したものだ。

繊細な人物描写で高い評価を集めるハルストレム監督だが「スリラーというジャンルに挑戦したいとずっと思っていましたが、ハリウッドでは私にそのチャンスが巡ってくることはありませんでした」と振り返る。そこで監督は故郷ストックホルムに戻り、自ら監督に立候補した。「小説を読んでダークな想像力をかき立てられました。私の過去作品はやわらかい作品が多いですが、この作品の暴力的な部分を控えめに描こうとは思いませんでした」。キャラクターの内面を丁寧に描いてきたハルストレム監督が、その手腕を駆使して“恐怖”を描くと一体どうなるのか気になるところだ。

なお本特集では、アイスランドで実際に起きた海難事故を映画化したヒューマンドラマ『ザ・ディープ』、北欧で人気を誇るスパイ・アクション『エージェント・ハミルトン ベイルート救出作戦』も上映される。これまで北欧映画はイングマール・ベルイマンやハルストレムなど、静謐なドラマや人間の心の機微を巧みに描く作品が高評価を集めてきたが、近年はスウェーデンから生まれた『ミレニアム』シリーズが世界的なヒットを飛ばすなど“知られざる北欧映画”に注目が集まりつつある。本特集の3作はいずれも昨年に製作されたもので、北欧映画の“現在形”を楽しめる貴重な特集になりそうだ。

The North side もうひとつの北欧
『ヒプノティスト-催眠-』
『ザ・ディープ』
『エージェント・ハミルトン ベイルート救出作戦』
5月4日(土)から5月24日(金)までヒューマントラストシネマ渋谷にて限定レイトショー