撮影:稲澤 朝博

デビュー前に515日間をかけて28ヵ国を旅した、アーティストのナオト・インティライミさん。

今年1月には「少しの間、旅に出ます。それも数ヶ月間。音楽との向き合い方を取り戻すべく、自分の原点に戻りたくてね」と活動休止を発表。

その半年間の休止期間中に、アフリカ大陸14カ国、ルーマニア、スウェーデン、ドイツなどを旅し、人々とのふれあいを追った『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2 前編』が11月23日に公開、後編は2018年1月5日に公開となります。

『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2 』©2017「ナオト・インティライミ冒険記2」製作委員会

約1000時間にも及ぶ記録の中に映し出されているのは、歌い、話し、飲み、笑う、素のナオト・インティライミ。

今回の旅を経て今、ナオトさんが思うこととは? 自身の音楽に与えた影響とは? 色々とお話を伺ってきました。

年間300ステージに立ち、並行して楽曲作りも。活動休止前に思っていたこと

――映画大変楽しく拝見させていただきました。ナオトさんが活動休止中に旅に出た映像が収められていますが、やはり多忙な活動の中「旅に行きたい」という渇望が自分の中であったのでしょうか。

ナオト:そうですね、忙しかったですからね。もちろん嬉しい悲鳴だしありがたいことなんですけど。2015年がドームツアーやって、ミュージカル31公演やって、夏フェス15公演出て、一年で300日くらいステージに立ったんじゃないかという忙しさで。

さだまさしさんくらいステージに立ってたんじゃないかな(笑)。

その中でシングル4枚出して、アルバム1枚出してって、ずーっとスケジュールが埋まっている状況で。

夢がひとつずつ叶って嬉しい反面、どれにも妥協出来ないからこそ余裕が無かった。

それでお休みをいただいてインプットの旅に行くと決めた時も、半年にするのか1年にするのか、すごく悩みました。2年行ったら忘れられちゃうんじゃないかな、と思ったり。

――そんな決断をされての旅という事で、映画の中では素でのびのびしたナオトさんを見ることが出来ました。

ナオト:完全な素ですね。今回の旅で1000時間撮影してもらっているんですけど、1000時間気を張ってはいられませんから。

せっかくお休みをいただいたのに本末転倒になっちゃう。もともと一人で行こうと思っていた旅だから。

「好青年で通ってるナオト・インティライミ」も時には怒ります(笑)

――素で解放された自分を見て、ちょっと照れちゃったりすることもありますか?

ナオト:照れとかは全然無いですね! 「楽しそうやな〜この子!」って思う(笑)。意外と客観的に見れます。

――前作の『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー』が2013年に公開されて、周りの反応はいかがでしたか?

ナオト:「心臓強いな!」とか言われましたね。へこたれないっていうのが一番思うみたいです。

あと前作だと僕が監督に怒っているシーンがあるんですが、なかなかそういうシーンって入れないじゃないですか。

僕が音楽番組でいきなり怒ったりすることも無いでしょう、ライブでいきなり怒ることも無いでしょう。特に好青年で通ってるナオト・インティライミですから。

――(笑)。

ナオト:人間ですから、そういう部分もあるんだよっていう。今回もキレてますよ! 旅はいろんなことが起こりますからねえ。

――そういう喜怒哀楽がご自身の曲作りの原動力になることも?

ナオト:ありますね、怒ったり悲しかったりという時に出来る事って結構あると思います。

楽しい時に楽しい音楽が必要だったり生まれたりするかというと、意外とそうではなくて。キツイ時に音楽が必要になって、吐き出すっていう。

楽しい時って音楽が無くても楽しいですもんね。もちろんどちらもあるんだけど。

『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2 』©2017「ナオト・インティライミ冒険記2」製作委員会

忘れられないジンバブエの音楽フェス「音楽の原点を思い出せた」

――ご自身の旅が編集されて、映画になって、ご覧になった感想はいかがですか?

ナオト:旅をしてるのは自分なんですけど、結構忘れている事が多いんですよね。

僕たち人間ってなんでこんなに忘れるんだろうってくらい。

だからこうして映像に残していただくのが有難いです。旅日記は自分でもつけているんですが、映像や日記を読むことでその時の自分にタイムスリップ出来るのは本当に素敵だなあと思います。

――どの場所もとても素敵で刺激的だとは思うのですが、特に印象に残っている事はありますか?

ナオト:モザンビークで旅の初日からステージで歌うことになるとは思わなかったですね。

昔なら「俺に歌わせろ!」って自分から行っていたところを、自然な流れで歌わせてもらう事になったのは旅って面白いなと思いました。

後は、タンザニアのザンジバルでのフェス「Sauti za Busara」には4日間で200組くらいのアフリカのアーティストが集結して。今までに体験した事の無い、とんでもないフェスでしたね。

丸4日間狂喜乱舞で。あの時点でもう帰ってもいいくらいの刺激でした(笑)。またあのフェスには行きたいです。

――フェスでアーティストのパフォーマンスを見る事で、ナオトさんの音楽感にも影響がありましたか?

『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2 』©2017「ナオト・インティライミ冒険記2」製作委員会

ナオト:アフリカの皆さんって、期待はしていたけどそれ以上に「音楽を心から楽しむ」という姿勢が素晴らしくて。まあ、当たり前なんですけどね。

音楽の原点なんだけど。自分の中でその順番が変わっちゃっていたから、「これこれ、俺もここから始めたんだった」って気付く事が出来ました。

リハ終わってからビール片手にギター弾きながら3、4時間くらい全く観客がいない所でずーっと歌ってるんですよ。普通はリハ終わったら帰るのに、本当に楽しそうにずっと歌ってる。

そこには「楽しいから」しか無くて、それを間近で観て変化していく自分を感じました。

――ナオトさんのこれまでの楽曲にも「カーニバル」の影響を感じるものがありますが、本作でも「カーニバル」のシーンが出てきますね。

ナオト:カーニバルは、もともとの収穫祭からは少し違ってきているかもしれないですけど、「1年に1度自分を解放する」という意味ではすごくパワーを感じますよね。

日本のお祭りも、今みたいなエンタメが無かった昭和初期、江戸時代、ものすごい盛り上がりだったと思うんですよ。

アフリカは今の日本よりはエンタメが発達していないから、1年のうさを晴らすというか想いを爆発させていましたね。後はパレードはデモ的な意味もあるんだなと思いました。

同性愛のチームがあったり、賃金あげろー!とかね。訴えることが根本にあって活動していて、その魂をリリースする感じが、皆すごくいい顔してるんですよね。

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