イー・モバイルのLTE対応スマートフォン「STREAM X」

スマートフォンやタブレットなどモバイル端末からのインターネット利用が急激なスピードで拡大するなか、ドコモ、au、ソフトバンクの3社は高速モバイル通信規格LTEの対応エリアの拡大と対応スマートフォンの拡充に力を入れている。その白熱するLTE対応スマートフォン市場に、この春、イー・モバイルが参入した。

●いま売れているスマートフォンの8割以上がLTEに対応

LTE(Long Term Evolution)とは、第3世代(3G)携帯電話のデータ通信を高速化した規格のこと。ドコモが2010年に「Xi(クロッシィ)」という名称でLTEサービスを開始し、2012年3月にイー・モバイルが、9月にauとソフトバンクが相次いでLTEサービスをスタートした。

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」の2月の実販売台数では、スマートフォンの8割以上がLTEサービスに対応している。今後、その割合はさらに大きくなっていくだろう。そしてイー・モバイルは、LTE対応のスマートフォン「STREAM X GL07S」を3月7日に発売し、このLTE対応スマートフォン市場に参入した。

イー・モバイルは、2012年3月にLTEサービス「EMOBILE LTE」を開始したが、そのときの対応端末はWi-Fiルータ。LTE対応スマートフォンの発売は今回が初めてとなる。そのイー・モバイルだが、巻き返しを図るべく、実質の月々の支払い額が3880円という挑戦的なプランを打ち出してシェア獲得を狙う。

●業界安値の料金プラン

まず、スマートフォンの料金をおさらいしておこう。スマートフォンを利用する場合、端末の料金とは別に、基本使用料とパケット通信費、インターネット接続料などがかかる。また、無料通話はオプションで、別途料金が必要になることが多い。

例えばauの「4G LTEプラン」は、機種変更の場合、基本料金980円、パケット定額サービス「LTEフラット」が5985円、インターネットサービス料金「LTE NET」が315円で、合計で7280円。他社からの乗換え(MNP)や新規契約の場合は割引が適用され、「LTEフラット」が5460円になって合計6755円。端末を新たに購入したときは、分割の場合は月払いの端末代や、別途端末の割引などの計算が必要になる。

一方、イー・モバイルは、基本使用料の「LTE電話プラン(にねん)」が980円、パケット定額サービス「データ定額5」が3880円の合計4860円。これだけでも十分に安いが、「LTE電話プラン(にねん)」と「データ定額5」の加入者を対象にした「LTEスマホ割」が適用されるので、基本使用料と同額の980円の割引を受けることができる。その結果、月々の支払い額は3880円と他社の半分ほどになる。

LTEサービスの料金に加えて気になるのが、対応エリアだ。「STREAM X」はイー・モバイルのLTEに対応し、イー・モバイルのLTEエリアと3Gエリアで利用できる。LTEエリアなら、下り(受信時)最大75Mbpsと高速だ。さらに、今夏からソフトバンクモバイルの3Gエリアでも3Gサービスを利用できるようになり、より広いエリアで安定した通信を利用できる。

●追加料金なしでテザリングを利用できる

ここ2年ほど、スマートフォンを使いこなす際のキーワードとして、「テザリング」という言葉を耳にする。これは、スマートフォンをモデム代わりにして、モバイルPCやタブレット、携帯ゲーム機などをインターネットに接続する機能のことだ。LTEに対応するスマートフォンは、このテザリング機能をもつモデルが多く、LTEの高速通信をスマートフォン以外のモバイル機器でも体感できる。

テザリングの料金体系は、キャリアによって異なる。ドコモはプラン内にあらかじめ組み込まれているので、オプション料金は発生しない。ソフトバンクとauは2013年5月末までに「テザリングオプション」を申し込んだ場合、最大2年間は無料で利用できるが、3年目以降は月額525円の利用料が必要になる。

イー・モバイルは、ドコモ同様、追加料金なしでテザリングを利用できる。しかも「STREAM X」は最大8台まで接続できる。また、2350mAhの大容量バッテリによって、テザリング時で約8時間通信できる。スマートフォンのテザリングはすぐに電池がなくなるのでは、と心配する声が多いが、これなら時間を気にせず利用できる。

月々の支払い額が3880円と安く、追加料金なしでテザリングを思う存分使えるイー・モバイルのLTE対応スマートフォン。この春、スマートフォンデビューする人や通信料金を見直したい人は、ぜひ検討してほしい。(BCN・山下彰子)

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