『天使の分け前』主演に抜擢されたポール・ブラニガン

13日(土)から日本公開になるケン・ローチ監督の新作『天使の分け前』に主演したポール・ブラニガンが近年、大きな注目を集めている。モデル顔負けの甘いルックスが魅力の俳優で、演技も高い評価を集めているが、彼は本作が映画初出演で、これまで演技の経験すらなかったという。なぜ彼は本作で主演を務めることになったのだろうか? ブラニガン本人のコメントが届いた。

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映画は、スコッチウィスキーの故郷スコットランドを舞台に、劣悪な環境で育ち、職もなくケンカばかり繰り返していた青年ロビー(ブラニガン)が、ウィスキーのテイスティングの才能に目覚めたことから、人生の新たな一歩を踏み出そうとする姿を描いている。

ブラニガンは主人公ロビーと同じくスコットランドのグラスゴーで育ち、演技とは縁のない暮らしを送ってきたがある日、彼の勤務先に脚本家がリサーチにやってきた。ブラニガンは「脚本家のポール・ラヴァティに会ったのは、コミュニティ・センターの仕事をしている時だった。ポールは過去や“僕の人生の物語”を聞いてきたんだ」と振り返る。そこでブラニガンは自身の育った環境や、息子が生まれた経緯などを話し、その後、脚本家から驚くような提案を受ける。「ポールは僕にケン(・ローチ)と会って話してくれないかと言うんだ。でもその時の僕は、ちょうどコミュニティ・センターの仕事を失ったところで、すごくショックを受けていた。だから行かなかった。二度も。そしたらポールから電話があって『重い腰を上げてこっちへ来い、ここにお前のチャンスがある』って言われたんだ」。

数々の名作を手がけてきたローチ監督はブラニガンを主役に抜擢。彼はシンデレラ・ボーイとして注目を集めたが、本人はいたって冷静だ。「俳優の訓練なんか受けてなかったから、僕はただ自分の本能、感覚で演じることに決めた。今までの人生で起きたいろいろな経験が僕を助けてくれたんだ。ケンは誠実な人だった。自分が望むものをわかってるけど、こちらの意見や感情を表現するチャンスをくれもするんだ」。

職を失い深い哀しみの中から“俳優”という新たな道を見いだしたブラニガンと、偶然にウィスキーに出会ったことで自身に眠る才能に気づいた主人公ロビー。どこか境遇の重なる主人公を演じたブラニガンは、本作の演技でBAFTAスコットランド賞の主演男優賞を受賞。次回作ではスカーレット・ヨハンソンと共演することも決まっており、本作の公開後には日本でも大きな注目を集めることになりそうだ。

『天使の分け前』
4月13日(土)より銀座テアトルシネマほか全国順次公開

(C)Sixteen Films Ltd. Why Not Productions S.A.. Wild Bunch S.A.. Urania Pictures. Les Films du Fleuve. France 2 Cinema. British Film Institute MMXII