モバイルデータ通信に関する相談件数の推移

国民生活センターは、4月4日、モバイルデータ通信の回線契約や通信機器に関する相談の増加に伴い、トラブルの未然防止・拡大防止に関する情報をホームページで公表した。

モバイルデータ通信は、持ち運びができる無線LANルータを使って、回線工事をせずに無線の電波でインターネットに接続するもの。通信速度や利用金額が光回線やADSL回線とあまり変わらないことや、スマートフォンやタブレット端末など、さまざまな商品やサービスとのセットでの割引販売が魅力になっている。

一方で、セット販売商品やサービスの値引きを魅力に、モバイルデータ通信の契約内容や仕組みを十分理解しないままで契約し、「よく考えたら必要ないので解約したい」などの相談が全国の消費生活センターに寄せられている。全国消費生活情報ネットワーク・システム「PIO-NET」に入力されたモバイルデータ通信に関する相談件数は、2009年度が1631件、10年度が1897件、11年度が3246件、12年度(13年3月15日まで)が4152件で、年々増加している。

相談には、有線回線が使えなくなるなど、訪問販売での虚偽の説明、スマートフォンには必須であるかのような不適切な勧誘、PCを値引くといわれて契約したが得ではなかった、サービスといわれたPCなどが有料だったなど、セット販売でのトラブル、広告の速度と実態が大きく違っていた――などが寄せられている。モバイルデータ通信は、電話勧誘や訪問販売であっても特定商取引法の適用がなく、クーリング・オフ規定の適用もない。また、セット販売や割引で契約が複雑化しているほか、実際に利用するまで品質がわからないベストエフォート型のサービスで、必ずしも消費者の期待通りにならないなどの問題点や課題がある。

モバイルデータ通信の契約は今後も利用者の増加が見込まれるが、トラブルに関する相談の増加を背景に、国民生活センターでは、消費者に(1)安易に事業者に返事をしないこと。必要がなければ、きっぱり断ること(2)通信エリア内であってもつながりにくい場所もあるので、サービスの特性やリスクを踏まえて契約すること(3)価格だけでなく自分の利用環境や目的に合わせて検討し、サービスの内容を十分に確認すること(4)トラブルになったら、最寄りの消費生活センターに相談すること――とアドバイスしている。

また、事業者への要望として、(1)勧誘に際しては十分な情報提供とわかりやすい説明をすること(2)虚偽説明などの不適切な勧誘や通信の契約であるという認識が希薄になるような販売方法は是正すること(3)何らかの方法で事前に通信状況が試せるようにするか、消費者が申告した利用場所でつながらない・つながりにくい場合には、消費者の負担がなく解約ができるルールの検討をすること(4)通信可能エリアはよりわかりやすく、通信速度はより実態に即した表示にすること――を挙げている。

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