(左から)ダスティン・ホフマン、樹木希林

ダスティン・ホフマンが初監督作品『カルテット!人生のオペラハウス』の日本公開を記念して、実に21年ぶりとなるプロモーション来日を果たし9日、都内で記者会見を行った。もちろん“監督”としては初来日で、「ずっと監督業に興味があったけど、なかなか勇気がなくて飛び込めなかった。今回はシナリオも素晴らしく、何より妻から『もし監督しないなら、別れるわ』って言われてね」と初メガホンを執るに至った経緯を明かした。

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ホフマンが75歳にして長年の夢だったという監督業に挑んだ本作は、引退した音楽家たちが暮らす老人ホームを舞台に、元オペラ歌手たちが、復活コンサートを開く過程で起こる悲喜こもごもを描いたヒューマンドラマ。マギー・スミス、トム・コートネイ、ポーリーン・コリンズ、ビリー・コノリーら英国を代表する名優たちがカルテットを演じるために集結した。「人間誰しも歳を取るなんて思わずに生きている。ただ、実際にこの年齢になると日々生きていることに感謝し、今この瞬間を大切にしたいと思える。そんなテーマを描きたかったんだ」(ホフマン)。

豪華キャストに加えて、ソプラノ歌手のギネス・ジョーンズなど、イギリスの音楽界を代表するピアニストやトランペット奏者らが、実際にキャストとして参加し演奏を披露している点も見どころで「美しい音楽によって、登場人物たちの内面の美しさを表現したかった」という。ホフマン自身も音楽愛好家で、「若い頃はピアニストになりたかったほど。でも才能がなかったから、2番目の選択として俳優を選んだ」と明かした。

会見には日本を代表する女優の樹木希林が駆けつけ、「ホフマンさんが出た『卒業』から、こんなに時間が経って、実際にお目にかかれるなんて」と感動した様子。「魅力的に歳を重ねる才能を持った俳優さんを、ホフマンさんが監督として“指揮”している。絵画的な美しさもあるし、歳をとるって素敵だと思える作品」と本作を絶賛すると、感激したホフマンが樹木にキスを贈る場面もあった。これには樹木もテレながら、「私には別居して40年になる夫がおりまして…。今でもすごくやきもち焼きなので、殺されないようにしないと」と“樹林節”で会見を盛り上げていた。

『カルテット!人生のオペラハウス』
4月19日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開