男同士をテーマにした恋愛ものを総称して、“BL(ボーイズ・ラブ)”と呼びます。いまやBLの人気は留まることを知らず、漫画や小説、ゲームやアニメといった実に幅広い媒体や形態に渡って、読者である腐女子&腐男子たち(BLを愛好する男女)の心を魅了し続けています。

そこで今回は、BL初心者の方はぜひ読んでおきたい!なかでも、一般文芸作品にスポットを当てて、BLっぽい匂いがする一般小説を3つピックアップしてみたのでご紹介します。「まだ専門のBL小説を読むには、ちょっと抵抗がある……」といった方は、これらの作品から入った方がBLの魅力を2倍も3倍も楽しめますよ。

BLの匂いがする一般小説作品3点

活字離れがささやかれている昨今、今回は文章を読むことが苦手な方でも楽しめる、読みやすい本を集めてみました。では一体、これらの作品のどこがBLっぽいのか。どの辺りがBLの目線から見て魅力的なのか。活字ならではの見所についても触れながら、以下覗いていきましょう。
 

『ネバーランド』
恩田 陸(著)
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『ネバーランド』著:恩田陸(集英社)

物語のあらすじは、「舞台は伝統ある男子校の寮『松籟館』。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の『告白』ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる『謎』。やがて、それぞれが隠していた『秘密』が明らかになってゆく……」といった、7日間の青春グラフィティを描いた学園ものです。

作者のあとがきに書かれていますが、当初の計画では『トーマの心臓(著:萩尾望都)』をやる予定だったとか。たしかに話を読み進めていくと、トーマの心臓をオマージュにしたところが節々に確認できます。もっとも「夏休みの男子寮に、4人の少年が居残りをする」という舞台設定から見てみても、どことなくBLっぽい風味を醸し出していることは、お分かりいただけるのではないでしょうか。

実際、作中でも、主人公の美国が優等生の光浩の顔をジッと見つめながら「こいつ、肌きれいだな。……顔立ちも整ってるし、下手な女よりずっときれいかもしれない」という心理描写が描かれており、いかにもBLっぽいフォーマットが、そっくりそのまま形となって表れています。

「なんだよ」
 光浩は、美国の視線に気付くと訝しげな表情になった。
「おまえ、肌きれいだな。触ってもいい?」
「ゲッ。何じろじろ見てるのかと思ったら」
 美国が手を伸ばすと、光浩は慌てたような顔でサッとよけた。その面くらった表情が幼くて、なんとなくおかしくなった。

このような地の文や会話文が、本作にはいたるところに散りばめられていますが、なかには「本当にその手のやり取りがあったんじゃないのか……?」と推測できるような描写(たとえば、岩槻と3年生の高木先輩のエピソードなど)まで垣間見ることができます。これについての詳細が知りたい方は、ぜひ本書を読んでその真相を確かめてみてください。