『コズモポリス』(C)2012 - COSMOPOLIS PRODUCTIONS INC. / ALFAMA FILMS PRODUCTION / FRANCE 2 CINEMA

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・クローネンバーグ監督の最新作『コズモポリス』が明日から日本公開になる。独自の世界観と語りで熱狂的なファンをもつクローネンバーグ監督がオリジナルではなく、小説の映画化に挑んだ理由とは? 最新コメントが届いた。

本作は、28歳にして巨万の富を手に入れた投資家エリック・パッカー(ロバート・パティンソン)が、破滅的な運命に囚われていく様を描いた作品。パティンソンだけでなく、ジュリエット・ビノシュ、マチュー・アマルリック、サマンサ・モートン、ポール・ジアマッティらが出演する。

本作の原作は、現代米文学を代表する作家のひとりであるドン・デリーロが約10年前に執筆したもの。クローネンバーグ監督は「僕は通常、自分のプロジェクトを好むほうだ」としながらも、小説を読み監督就任を即決。キャリア最短となる6日間で脚本を書き上げた。クローネンバーグ監督は「小説のセリフは特に見事だった。いくつかのセリフはハロルド・ピンターにあやかって“ピンタレスク”と言われているが、僕たちは“デリリスク”について話すべきだと思う。ピンターは劇作家であり、彼の会話に対する名人芸は明白だが、小説に関して言えば、デリーロの作品には明らかにひときわ優れた表現力がある」と言い、「デリーロには今起こっていることや、物事がどうなっていくのかということに対する驚くべき洞察力がある。だから小説は予言的だが、映画はまさに今を描いている」と分析する。

劇中ではときに複雑で、ときに哲学的で考え抜かれたセリフが飛び交う。しかしそれ以上に重要なのは、極めて安全なリムジンから出ることのないまま、次第に巨大な不安と死の予感に心が支配されていく“エリックの変化”だ。だからこそクローネンバーグ監督は、物語の進行に沿って撮影を進めたという。「できる限りね。ほとんどすべてのシーンがリムジンの中で起こる。我々が撮影した最後のシーンが、映画の最後のシーンになった。時には実務的な障害もあったが、ほとんどの部分は僕の以前の映画よりも時系列を尊重しようとした。たった1日の中で展開する物語だが、複雑な進化を遂げる。そのやり方のほうが極めて有益だったんだ」。

巨万の富を手に入れ、すべてが揃った快適なリムジンに乗り込んだ男はなぜたった1日で大きな変化を遂げてしまったのか? カメラは主人公の奇妙な、しかし極めて重要な1日に密着し、観客はそのすべてを至近距離で目撃することになる。

『コズモポリス』
4月13日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

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