役所広司が南三陸町を見つめた記録映画に込めた想いを語る

2013.4.15 16:24配信
合同インタビューの様子

日本を代表する俳優のひとりである役所広司が、ひとつの強い想いを胸に1本のドキュメンタリー映画に参加している。東日本大地震直後、急遽期間限定で開局した南三陸町の災害ラジオ局「FMみなさん」のスタッフたちの奮闘を追った『ガレキとラジオ』で、彼はナレーションを担当、同時にスペシャルサポーターも務める。その参加への経緯と声に込めた想いを語ってくれた。

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この記録映画を作り上げたのは、CMのクリエイティブディレクターをしている梅村太郎氏とテレビ番組の構成作家である塚原一成氏。学生時代から友人であるふたりが“自分たちで出来る限りのことがしたい”と現地に向かい、「FMみなさん」の人々と出会い、その1年を見つめた。そこに参加したいきさつを役所はこう語る。「今回の震災では、多くの人が“自分に何かできることはないか?”と考えたのではないでしょうか? 僕も同じです。そんなとき、監督ふたりから声をかけていただきました。ふたりの話から熱意が伝わってきましたし、作品で被災地から伝えようとしていることにも賛同できる。僕でよければとお引き受けしました。今はこの作品に参加できたことに心から感謝しています」。

ナレーションは震災前まで、この町に存在し、確かに生きていたひとりの男のモノローグという形式。その言葉は登場する人々であり町の人々を時に励まし、時に心情を代弁、同時に優しく温かく見守る。そこに込めた想いをこう語る。「最愛の人を亡くした悲しみは、そう簡単に癒えることはない。ただ、僕はこう信じたい。“死して目に見えなくとも、愛する人はきっと自分のそばにいてずっと見守ってくれている”と。生き残った人間たちを、ずっと見守りながら力づけてくれる。そんな存在になれたらとの想いを込めて語りました」。

このナレーションとともに、応援団長ともいうべきスペシャルサポーターも務める。その中で作品をこう評する。「「FMみなさん」の皆さんは自身も被災者なのに、町の人々のために奔走する。しかも笑顔を忘れずに。その純粋で優しい皆さんの姿に、僕は感銘を受けました。また、皆さんの笑顔の裏に隠された悲しみや苦悩を考えるとほんとうに胸が痛む。人間は忘れてしまう生き物。僕もそうです。忘れなければ生きていけないことも確かにある。でも、絶対に忘れてはいけないこともある。今回の震災はそのひとつ。震災を風化させてはならない。そのためには伝え続けていくしかない。この作品が被災地の人々と我々を結ぶきっかけになり、東北の復興の力になってくれたらうれしいです」。

『ガレキとラジオ』
公開中

取材・文:水上賢治

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