左から、首藤康之、小野寺修二  撮影:源 賀津己 左から、首藤康之、小野寺修二  撮影:源 賀津己

それぞれマイムとバレエの第一人者でありつつ、枠にはまらない、幅広い活動を続けている小野寺修二と首藤康之。彼らの初タッグ作品『空白に落ちた男』の初演から5年、新たなる作品づくりのため、ふたりがまたも動き出した。その気になる新作『シレンシオ』とは? 小野寺(作・演出・出演)と首藤(出演)に話を訊いた。

『シレンシオ』チケット情報

2006年の出会いから、お互いを強くリスペクトしていると言う小野寺と首藤。彼らにとってマイムやバレエといったカテゴリー分けは、もはや存在しないとも言える。そんなふたりがひとつの答えとして導き出したのが、『空白~』だ。首藤は「見たことのない景色をたくさん見させてもらいました」と公演を振り返り、「小野寺さんの作る世界は、ものすごく美しくて、エレガントで、絶対に品格を失わない。一度知ってしまったら、もうそこから抜けられないんです」と目を輝かせる。

『空白~』は非常に高い評価を受け、今も伝説として語られるほど。だが小野寺は、「また違うことを探したい」と思いを新たにする。小野寺にそう思わせたひとつの要因が、本作が30年ぶりの舞台出演となる原田知世の存在。「最初にお話をいただいた時は、ただただビックリして」と話す小野寺だが、「でも原田さんと首藤さん、おふたりの空気感や見つめてきたものっていうのは、実はすごく近い気がして。またこれまで首藤さんとガチで作ってきた分、原田さんというひとつ違った要素が加わることは、絶対プラスに働くと思います」と大きな期待を寄せる。

タイトルの『シレンシオ』とは“沈黙・静寂”を意味しており、本作に言葉は登場しない(予定)。しかし小野寺は、だからこそ感じられるものがあると考える。「自分や物の見方、その場の雰囲気とか空気ってことを、改めて楽しめる時間があってもいいのかなと。特に首藤さんと一緒にやる時は、言葉は使わず身体に目を向けたい。できるだけシンプルに、根源的なことに向かえるといいなと思うんです」と、現段階でのイメージを明かす。

そんな小野寺の世界を、首藤はその美しい肉体をもって体現していく。『空白~』から続くこの共同作業は、さらに発展を遂げ、「初演からの5年間で、お互いいろんな経験をしていますからね。向かい合った時に全然違う小野寺さんが、全然違う僕がそこにいるかもしれない。それは今からすごくワクワクしています」と満面の笑みを見せた首藤。小野寺も「ゼロからの気持で取り組んでいきたいです」と続ける。当人たちですら予測できない舞台。だがきっと今回も、いい意味で観客を裏切ってくれることだろう。

公演は7月2日(火)から7日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウス、7月13日(土)に大阪・サンケイホールブリーゼにて。チケットの一般発売は4月28日(日)午前10時より。なお、チケットぴあではインターネット先行抽選を実施中。4月19日(金)午前11時まで受付。

取材・文:野上瑠美子