<家電激戦区を歩く>愛知・名古屋市(1) 名古屋駅前が家電の街に 再開発で新たな軸が生まれる

2013.4.16 11:33配信
多くの家電量販店が出店する名古屋駅周辺

かつての日本三大電気街の一つ、大須を抱える愛知県名古屋市。しかし近年、家電市場は名古屋駅周辺に移っている。駅前の再開発によって百貨店などが活性化するのに合わせて、家電量販店もビックカメラとヤマダ電機がしのぎを削っている。さらには2016年までにヨドバシカメラが進出。大手3社によるし烈な競争が繰り広げられる。一方、パソコン専門店が立ち並んでいた大須は、現在はごくわずかな専門店だけが生き残っている状態。それでも、パソコン上級者を常連客としてしっかり確保しながら、新たなお客様の開拓にも取り組んでいる。(取材・文/佐相彰彦)

<街の全体像>

●駅ビル、複合施設、大学がオープン

全国3位の人口226万6526人を擁する東海地区最大の都市、名古屋。その名古屋市で、今、最も賑わっているのが名古屋駅周辺だ。JR新幹線や在来線、地下鉄東山線や桜通線、名古屋鉄道(名鉄線)や近鉄名古屋線などの私鉄が停まるターミナル駅であることと、駅前の再開発が進んでいることで、活況を呈している。

名古屋駅周辺の活性化の象徴が、百貨店のジェイアール名古屋タカシマヤや名古屋マリオットアソシアホテル 、レストラン、オフィスなどがテナントとして入る54階建てのJRセントラルタワーズだ。2000年に開業したこの大型複合施設は、駅と直結している利便性を生かして高い集客力を誇っている。「名古屋のランドマーク」として定着したJRセントラルタワーズのオープンを機に、その後も再開発が進み、多くのオフィスや飲食店などが名古屋駅に集まるようになって繁華街へと発展した。東京~名古屋間のリニア中央新幹線の開業を2027年に控え、今も再開発は進行中。旧名古屋ターミナルビルの高層複合ビル化、名駅一丁目での商業施設やバスターミナルの建設などが計画されている。

名古屋駅周辺の活性化とともに、逆に衰えがみえるのが、名古屋最大の繁華街である栄をはじめ、伏見・錦・大須などの歴史ある商店街だ。栄には今も松坂屋、三越、丸栄などの百貨店や高級ブランドショップ、飲食店などが軒を連ねているが、名古屋駅周辺に比べると町並が古く、交通の利便性も名古屋駅が相手では分が悪い。

●ビックのオープンで勢力図に変化

名古屋駅周辺の再開発に伴って、家電量販店の勢力図も大きく変化している。

2003年11月、ビックカメラが名古屋駅前に売り場面積1万5000m2規模の名古屋駅西店をオープン。歴史的には駅裏のイメージが強かった西側への出店だったが、広い売り場面積を生かした豊富な品揃えとポイント還元方式による割引によって、多くの来店者を呼び込んだ。

ビックカメラの出店で大きなダメージを受けたのが、日本三大電気街の一つ、大須商店街だ。ピーク時の2000年には、商店街の至る所に小さなパソコン専門店が出店していたが、かつては商圏として重ならなかったビックカメラ名古屋駅西店の成長に飲み込まれ、多くの店舗が閉店を余儀なくされた。今残るのは、10店舗に満たない。それでも生き残った店舗は、パソコン上級者を固定客として確保している。

ヤマダ電機は、2002年5月、栄地区にテックランド名古屋栄店をオープンし、近くの大須商店街を脅かすといわれたが、栄の繁華街としての総合力が低下した2011年6月に閉店。そして、2011年10月、名古屋駅近くの名鉄百貨店本店ヤング館の跡地にLABI名古屋店をオープンした。また、名古屋市と郊外に9店舗を出店し、包囲網を敷いている。

名古屋は戦後間もない頃に創業したエイデン(現エディオン)の本拠地。市内に27店舗を構え、古くから高い知名度を誇り、手厚いサービスで地元住民から高い信頼を得ている。エディオンは、名古屋駅から5分ほどの名駅四丁目に、旗艦店である名古屋本店を構える。さらに、2016年に開業予定の名古屋駅新ビルにはヨドバシカメラが出店する予定で、名古屋駅周辺は家電の街として賑わいをみせるだろう。

現在、名古屋市では、駅前にヤマダ電機とビックカメラ、ビックカメラグループのソフマップ、エディオンが出店。大須商店街にドスパラ、アプライド、ユニットコムグループのグッドウィル、ヤマダ電機グループのツクモなどが店を構えている。郊外に、エディオンが26店舗、ヤマダ電機が8店舗、ケーズデンキとコジマがそれぞれ4店舗を出店している。

●高額商品が売れる城下町 郊外では老舗が店舗網を築く

――クロス 得平司代表取締役

名古屋市の家電量販市場について、クロスの得平司代表取締役は、「大手が大型店舗を出店している名古屋駅周辺が最大規模」という。ヤマダ電機やビックカメラ、エディオン、さらに今後はヨドバシカメラが大規模店舗をオープンする予定だ。「再開発によって駅前はますます活性化する」と分析する。

名古屋市は城下町ということもあって地元に古くから住む人が多く、「住宅のローンを抱えている世帯が他の都市より少ない。また、結婚するときに家具や家電に膨大なお金をかける。そのため、東京や大阪と比べれば高価な製品が売れる地域だ」とみている。

名古屋駅前は客層を特定するのが難しく、必然的に豊富な品揃えがポイントになってくる。逆に郊外では、「クルマ社会ということもあって、地域密着型でいかに常連客を確保できるかがカギを握る」として、「常連客を確保しているのが、エディオンとケーズデンキだろう」という。エディオンはエイデン、ケーズデンキはギガスと、どちらもかつて名古屋を本拠地として地元住民から信頼を得ていた。量販店の店舗群が、今も根を下ろしていることから、多くの常連客を確保しているのだ。

大須商店街については、「サブカルチャーの街として定着しつつあり、アニメの専門店なども増えてきた。東京の秋葉原電気街や、大阪・日本橋のでんでんタウンのような流れが出てくれば復活するのではないか」とみる。また、「1か月に1回の頻度で祭りを開催するなど、商店街全体で街を盛り上げようとしている。パソコン専門店は、こうしたイベントを集客に生かすべき」と指摘する。

→愛知・名古屋市(2)に続く(2013年4月22日掲載)

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年4月8日付 vol.1476より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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