椎名慶治 Photo:矢部志保 椎名慶治 Photo:矢部志保

1月にリリースした2ndフルアルバム『S』を引っ提げた椎名慶治のツアー“Strip? or Stripper?-Type S-”。そのファイナルが4月17日、椎名の日に東京・赤坂BLITZで行なわれた。

BGMに乗っておもむろに椎名とバンドメンバーが現われると大きな手拍子が湧き起こった。客席の興奮をサラリと受け止める椎名。そのもったいぶりのない佇まいに似合うゆるめのグルーヴが始まる。バックライトのみの暗がりの中で、『S』の1曲目である『僕等の中』。大人っぽいオープニングだ。今日は音で勝負するぜというメッセージがこの冒頭にこめられている気がした。『いざ尋常に』ではオープニングの雰囲気を一転、スポットを一身に集め派手にスパーク。曲中に登場する「傾いていたい」という歌詞は、まさに椎名の心情を表わした言葉なのだなと感じた。

続いて歓声が上がったのは『Re:START』。そう、彼が2010年まで活動していたSURFACEの曲だ。5月でデビュー15周年を迎えるということもあり、この日は『S』からの選曲数と負けないくらいSURFACEの曲もたっぷり。「心を裸にしてみた中にはSURFACEがある。存分にやっちまうか(笑)」と語る椎名。もちろんサウンドは今ならではの味つけ、すなわち「オッサン・バージョン」。これが最高にカッコよかった。

ソロ・ツアー1回目から椎名はとことん生にこだわってきた。メンバーも1回目から基本同じで、山口寛雄(b)、友森昭一(g)、佐治宣英(d)、磯貝サイモン(k,g,cho)という達人揃いだ。そこにラップ&コーラスでZEROを加え、4ビートなどを取り入れた渋いアプローチを独自の斬新さに昇華。つまりSURFACEの曲を根っこから解釈し直し、37歳のスタイルとして見せてくれたわけだ。音楽ファンをうならせる実に粋な場面だった。

曲の合間には、ライブでお馴染みとなっている暴走気味な爆笑トークも披露。アンコールでは友人であるキャイ〜ン天野ひろゆきが駆けつけ、再度『いざ尋常に』をともに熱唱するというサプライズも。「次の一手は決まってる。絶体驚かせてやるからな」との宣言も飛び出し、硬軟自在のエンタメ魂。これぞ椎名慶治な一夜だった。

なお、ぴあでは今ツアーの模様をフォトカードにしてお届けする「ぴあメモリアルカードサービス(メモカぴあ)」を5月27日(月)まで受付中。詳細は下記リンクのメモカぴあホームページまで。

Text:藤井美保