『リンカーン』撮影現場のダニエル・デイ・ルイスとスティーブン・スピルバーグ監督(C)2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION and DREAMWORKS

スティーブン・スピルバーグ監督が、米国史に名を残す偉大な政治家の真実を描いた映画『リンカーン』が19日(金)から日本公開になる前に、スピルバーグ監督が本作について語る10分超のインタビュー映像が公開された。

『リンカーン』インタビュー映像

本作は、アメリカ合衆国第16代大統領になったリンカーンが南北戦争の中で、奴隷制度の廃止を明文化する米国憲法修正第十三条を議会で通過させるため、自らの信念を貫こうとする姿を描く感動作。監督が12年もの間、撮ることを熱望していた作品で、ダニエル・デイ=ルイス、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、トミー・リー・ジョーンズら豪華なキャストが集結し、デイ=ルイスは第85回アカデミー賞主演男優賞を受賞している。

アメリカで最も偉大とされるリンカーンの生涯を映画で描く。スピルバーグ監督はこの夢を10年以上に渡って追い続けてきたが、その間に数々の草稿や準備稿が執筆された。1809年に生まれ、1865年に凶弾に倒れたリンカーンの生涯すべてを映画化することは難しく、大統領を務めた約4年の間にも様々な出来事が起こった。インタビュー映像でスピルバーグ監督は彼の生涯の中で「あえて知名度の低い話を選んだ」という。リンカーンが議会で成立させるべく奔走した米国憲法修正第十三条は、2節からなる文章で公式に奴隷制を廃止することを宣言するものだ。しかし、修正憲法を成立させるためには、議員を説得し、議会の投票で勝利しなければならない。そこで彼はあらゆる手を尽くして人々を説得し、信念を訴え続け、その想いは次第に周囲の人々に伝播していく。自身の手で世界を変えた英雄ではなく、人々の心を動かした指導者としてリンカーンを描いたことが本作の大きな特徴だ。スピルバーグ監督は「英雄として崇められることを避けたかった。崇拝するのではなく、1人の人間として彼を見てほしかった」と語る。

劇中のリンカーンは時に失敗し、時に迷いながら、自分の想いは人々に伝わると信じて必死に行動する。偉人が描かれ関心させられる映画はある。こんな人がいればいいなと憧れる映画もある。しかし、本作は観客がリンカーンに心を寄せ、共感し、その想いが観る者に伝わってくる作品になっている。

『リンカーン』
4月19日(金) TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー