Dステ13th『チョンガンネ~おいしい人生お届けします~』の稽古風景 Dステ13th『チョンガンネ~おいしい人生お届けします~』の稽古風景

俳優集団D-BOYS&D2による舞台、Dステ13th『チョンガンネ~おいしい人生お届けします~』が4月25日(木)に開幕する。様々なジャンルの演劇を上演してきたDステが初めて放つミュージカル。その内容を稽古場で取材した。

原作は、韓国の小劇場で2008年に初演されたミュージカル『チョンガンネ・ヤチェカゲ(独身男の八百屋さん)』。現在も再演が重ねられ、テレビドラマまで製作された人気コンテンツで描かれるのは、イケメン八百屋“チョンガンネ”を営む若者たちの物語だ。お客さんに、おいしい野菜や果物だけでなく、“楽しさ”も一緒に提供したい。その一心から、彼らは、歌とダンスを駆使したおもてなしを思いつく。エプロン姿のまま店内で繰り広げられるパフォーマンスは大きな注目を集め、店は大繁盛。奇抜な設定に思えるが、それが実話を元にしたストーリーというから、驚かずにはいられない。

物語に登場する店員は、リーダー的存在のテソン(和田正人)、大企業を辞めて入社したミンソク(牧田哲也)、ホストクラブで働いていたチファン(近江陽一郎)、アメリカ留学経験があるユンミン(三津谷亮)、兵役を終えたばかりのチョルジン(橋本汰斗)の5人。2号店のオープンを控えている彼らだが、万事が順調というわけではなかった。ある者には大企業から引き抜きの声がかかり、またある者は借金に苦しんでいる。客に惜しみなく“楽しさ”を届ける一方で、心の中はそれぞれの事情に揺れているのだ。

日本版の演出・訳詞・上演台本は、〈柿喰う客〉代表の中屋敷法仁が担当している。演出家から「もっとエネルギー上げていきましょう!」と檄が飛び、稽古場の熱気がグッと高まる。ポジティブなパワー全開で周囲を巻き込むテソン、それを冷静かつ寛大にサポートするミンソクなど、5つの個性がそれぞれに際立って見えるのは、演じ手の表現に迷いがないからだろう。そして宝塚出身の舞羽美海、ズボンドズボンの黒崎ジュンコ、新良エツ子ら、歌とダンスに秀でた女性キャスト陣の存在が頼もしい。また、中屋敷らスタッフにも同世代のクリエイターが揃ったことで、密なコミュニケーションが生まれ、作品に安定感をもたらしているのが感じられた。

お客さんを相手に店員たちが繰り広げるナンバーは、どこまでも陽気で屈託がない。歌とダンスで人々を手厚くもてなす“チョンガンネ”たちは、まさに街角のエンターテイナーだ。ミュージカルという表現手段から、演じるキャラクターのスピリットから、D-BOYS&D2のメンバーは多くのことを吸収するに違いない。

Dステ13th『チョンガンネ~おいしい人生お届けします~』は、4月25日(木)から5月6日(月)まで東京・本多劇場、5月11日(土)・12日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。チケットは発売中。