平成25年度新国立劇場地域招聘オペラ公演『三文オペラ』記者会見 平成25年度新国立劇場地域招聘オペラ公演『三文オペラ』記者会見

平成25年度新国立劇場地域招聘オペラ公演『三文オペラ』の記者発表が4月16日に同劇場で行われた。

平成25年度新国立劇場地域招聘オペラ公演『三文オペラ』の公演情報

2005年より新国立劇場が全国各地の優れた舞台作品を招聘している「地域招聘オペラ公演」。9年目を迎える今回は、2012年10月に大好評を博したびわ湖ホールの『三文オペラ』を上演する。

本作の演出を手がけたのは、栗山昌良。1978年から79年にかけての東京室内歌劇場での上演以来、約30年ぶりに「三文オペラ」に挑んだオペラ演出の巨匠。「ブレヒトというのは私たちの世代の舞台人にとっては特別な作家。三文オペラという音楽劇は、演劇だけ、音楽だけでは表現しきれないものが詰まっている、非常に難易度の高い作品。ブレヒトの芝居ができないといけない。クルト・ワイルが声楽的に歌えないといけない。完全上演は世界でも非常に稀でしょう。また作品のテーマにも、今に通じるものがある。現代の日本の社会構造に照らし合わせたパロディともいえるかもしれない。ただ古いものを上演するのではなく、時宜を得た作品なんだと感じています」と作品にかける思いを述べた。

ブレヒトの戯曲を20世紀音楽劇の最高傑作たらしめたのがクルト・ワイルの音楽。公演で指揮を務める園田隆一郎は「同時代のショスタコーヴィチやプロコフィエフの作品を演奏するのと同じようなアプローチをとることで、クルト・ワイルの音楽的魅力を引き出せるはずだと感じています。バンドネオン、バンジョー、ハワイアン・ギター、4種類のサクソフォンなど、普段のオーケストラでは聴けない珍しい楽器もでてきます」と作品の魅力を語る。

出演を務めるのは、びわ湖ホールの専属声楽家集団「びわ湖ホール声楽アンサンブル」。前回のびわ湖ホールでの初演に際し、巨匠・栗山昌良から半年にも及ぶ演技指導を受けたという。アンサンブルを代表して会見に登壇した栗原未和(ポリー・ピーチャム役)は、「この作品は台詞が大部分を占めるので、オペラのように心情描写の面で音楽の助けを得られないところが難しい。台詞の速さや声色、音程など、様々な側面から『台詞を作曲していくように』と栗山先生から指導いただいて、練習を積み重ねました。一度非常に苦労した作品を、少し寝かしたうえで、改めて取り組めるのは大変ありがたいこと。新しい気持ちで、より良い舞台を披露したいです」と意気込みを新たにした。

平成25年度新国立劇場地域招聘オペラ公演『三文オペラ』は、7月12日(金)・14日(日)に新国立劇場 中劇場(東京・初台)で開催。チケットは発売中。