宝塚歌劇雪組『ベルサイユのばら』-フェルゼン編- 宝塚歌劇雪組『ベルサイユのばら』-フェルゼン編- 撮影:三上富之

宝塚雪組の壮一帆(そう・かずほ)、愛加(まなか)あゆの新トップコンビお披露目公演『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』が、4月19日、兵庫・宝塚大劇場で開幕。初舞台となる99期生の初々しい口上やラインダンス披露もあり、より華やかなステージが堪能できる。

宝塚歌劇雪組『ベルサイユのばら』-フェルゼン編- のチケット情報

池田理代子による人気漫画を原作に、さまざまなキャラクターを主役に立て、視点を変えて上演する“ベルばら”。なかでも『フェルゼン編』は、フランス王妃マリー・アントワネット(愛加)と、スウェーデン貴族フェルゼン(壮)との悲恋を軸に描かれた作品だ。重税に喘ぐ民衆と、宮廷との関係が緊迫の度合いを深める18世紀末。宮廷はもうひとつ、大きな問題を抱えていた。それは、アントワネットとフェルゼンの道ならぬ恋。密かに逢瀬を重ねていたふたりだったが、王妃の身を案じたフェルゼンは帰国を決意する…。

幕開きは袴を着て凛々しく舞台に立つ99期生の口上。団歌の斉唱を終えると一転、ピンクのバラに包まれた、キラキラ輝く少女漫画の世界がステージに広がる。舞台は華やかに着飾った貴族たちで溢れ、安穏とした空気が流れる宮廷内を中心に展開。その中で、フェルゼンとアントワネット、フェルゼンとオスカル、オスカルとアンドレのそれぞれの愛や、キャラクター一人ひとりの葛藤が色濃く描かれる。

“ベルばら”6回目の出演にして、初のフェルゼン役に挑んでいる壮。涼しげに見えて熱い想いを持つフェルゼンは、壮にぴったりの役柄だ。男役17年の経験はさすがの安定感で、その凛とした佇まいからも貴族としての華やかさ、麗しさを感じさせる。男として生きてきたオスカルが心を寄せるのも納得。一方で、アントワネットへの想いを表せば、激しい熱がこもる。アントワネット役の愛加も、愛らしい雰囲気をまといながら、気高く誇り高い王妃を好演。クライマックスで見せるフェルゼンとアントワネットの苦しみは、こちらが心苦しくなるほど。また、オスカル役の早霧(さぎり)せいな、アンドレ役の未涼亜希(みすず・あき)の見どころもたっぷり。早霧は美しいビジュアルで目を引き、演技では強くも儚げな印象を残す。未涼は包み込むような優しさをもってアンドレを表現する。

フィナーレは、99期生のラインダンスに始まり、アダルトなデュエットナンバーに、美しいフォーメーションに目を奪われる黒燕尾のダンスなどを展開。新生雪組のスタートにふさわしい、豪華なステージが堪能できる。

さらに宝塚大劇場では、役替わりで他組のトップスターが共演。星組トップスター柚希礼音(ゆずき・れおん)、月組トップスター龍真咲(りゅう・まさき)がアンドレ役で、宙組トップスター凰稀(おうき)かなめがオスカル役で登場する。

兵庫公演は5月27日(月)まで上演中。また、6月14日(金)~7月21日(日)まで、東京宝塚劇場にて上演される。東京公演のチケットは5月12日(日)より一般発売開始。

取材・文:黒石悦子

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