津田健次郎

 アニメ「テルマエ・ロマエ ノヴァエ」が3月28日から、Netflixで独占配信される。本作は、ヤマザキマリの原作漫画『テルマエ・ロマエ』に、新たな書き下ろしエピソードを加えてアニメ化。古代ローマの浴場技師ルシウスが、ローマと現代日本をタイムスリップしながら、自国の浴場に日本の入浴文化を取り入れていく浴場コメディー。本作で主人公・ルシウスの声を演じている津田健次郎に、作品の魅力や見どころ、日本のアニメ作品がNetflixで世界同時配信されることへの意気込みなどを聞いた。

-「テルマエ・ロマエ」は、実写版の映画で阿部寛さんがルシウスを演じたことでも話題になりましたが、オファーを受けたときは、どんな気持ちでしたか。

 とても有名な作品ですし、支持率が高くてファンもたくさんいらっしゃる作品なので、単純にそういった作品の主役をやらせていただくことや、ルシウスという面白い役をやらせていただけることがうれしかったです。

-原作漫画のどんなところに魅力を感じますか。

 独自性が面白いなと思います。お風呂を媒介してタイムスリップをしたり、お風呂をこんなにクローズアップした作品は今までにないですし、ヤマザキ先生の学者並みの知識に裏打ちされた、しっかりとしたアカデミックなものの上にギャグが成り立っているところが、本当に面白いなと思います。

-ルシウスというキャラクターの印象は?

 とにかく実直で仕事に真っすぐで、いいものを作ろうとしている真面目な男だと思います。キャパシティーが狭くて、すぐに驚いたり、悩んだりしますし、非常にその辺りが等身大で人間くさくて、結果的にパニックに陥ったり、困ったりするところが笑いにつながりますし、ルシウスのキュートさや魅力になっているなと思います。

-アフレコの際は、どんなところを意識しましたか。

 ルシウスを、エネルギーを高く、生真面目にやっていこうというのは意識していました。ルシウスは、一人でぶつぶつ言ったりと、せりふも多いので楽しかったですし、ぜいたくな時間でした。

-アニメーション版の魅力は、どんなところに感じていますか。

 アニメーションは、いい意味でライトさがあるので、非常に見やすいです。あまり気負って見るようなタイプの作品ではないので、疲れたときや、ふとした時間に見やすい作品になっています。ばかばかしいなと、笑って見ていただけるとうれしいです。

-津田さん自身は、お風呂は好きですか。入浴時のこだわりがあれば、教えてください。 

 僕は寝る前と起きた後と、1日に2回浴槽に漬かるぐらいお風呂が好きです。目覚めにもいいですし、睡眠にもいいですし、考えごとをするのにも、あれほど適した時間はないなと思っています。気分によって本を持ち込んだり、防水のスマホを持ち込んで仕事をしたり、熱めのお風呂に漬かりながら長風呂を楽しんでいます。

-本作にも、お風呂が好きな人々がたくさん登場しますが、共感する部分はありましたか。

 はい、ヤマザキ先生の圧倒的な知識量が、お風呂に関する部分にも、すごく投影されているので、いかに古代ローマ人がお風呂に執着していたか、いかに工夫していたかということが存分に描かれていますし、それに負けず劣らず、日本人も昔から風呂を愛し、風呂の時間をいかに豊かにするかということに、ものすごく工夫とエネルギーを掛けてきたというのが、『テルマエ・ロマエ』を見た後に印象に残るんですよね。やっぱりお風呂っていいものだなというのが感じられるので、そういう意味でも、とてもいい作品だと思います。お風呂に入りたくなると思います(笑)。

-好きな温泉地はありますか。

 長野の野沢温泉は、街に幾つも温泉があって、地元の人も入られていて、いわゆる高級旅館に付いている露天風呂とか、そういうものとは違った素朴さがあって非常によかった思い出があります。ヤマザキ先生が作品の中の巡湯記のコーナーで草津温泉に行かれていたので、草津温泉にも行ってみたいなと思っています。

-津田さんは、以前Netflixシリーズの「極主夫道」でも声優を担当しましたが、アニメの制作現場で、Netflix作品ならではの違いというのは感じていますか。

 アニメ作品自体が現場ごとにやり方も空気感も違うので、そういう意味では、そんなには違いは感じていないのですが、制作時というよりも、Netflix作品を世に出していくときの勢いやスケールがすごいなと感じています。「極主夫道」のときは日本国内でも壮大なスケールで、渋谷のスクランブル交差点が「極主夫道」にジャックされた瞬間もありましたし、勢いがあって面白いなと思います。

-Netflixを通じて、本作を世界中の人に見てもらえることについて、特別な思いはありますか。

 Netflixさんは、世界のものすごい数の国で見ていただけているというのを「極主夫道」のときに体感したんです。「極主夫道」がアジア圏や北米の視聴ランキングにバンバン入ってきたりしたので、すごいなと思って。世界同時配信というのは、ものすごくパワーがありますし、世界各国のたくさんの方々に見ていただける可能性があることがうれしいです。

-Netflix作品では、昨年は「イカゲーム」などの韓国作品が世界的ヒットになりましたが、日本の作品も、もっと多くのヒット作を生み出していきたいという意気込みはありますか。

 それはもう、「『イカゲーム』に負けるな!」という思いは、すごくあります(笑)。「テルマエ・ロマエ ノヴァエ」で描かれている日本のお風呂文化は、海外の方にも、非常に興味深く面白く見ていただけるのと思うので、そういう意味でも、本作はたくさんの可能性がある作品だなと思っています。

(取材・文・写真/小宮山あきの)

Netflixシリーズ『テルマエ・ロマエ ノヴァエ』は、3月28日からNetflixで独占配信。