――舞台「戦国BASARA」を通して何を学んだり、得たりしましたか?

細貝「舞台って、オフでの役者同士の関係性が出る部分があると思うんです。3年間やってきて、お互いの信頼性も増していったし、特に佐助役の洋ちゃん(村田洋二郎)とはリアルな主従関係みたいになりましたね。舞台の内容とは逆で、僕が洋ちゃんになついているんですけどね(笑)」

久保田「単純に役者として殺陣を覚えたことですね。あとはチームが一丸となる気持ちと、ブレない姿勢。ゼロから始めたということで思い入れもあるし、一緒に育ってきたという感覚です。戦国BASARAをやることでみんなも仕事が増えたと思うし、大切な作品ですね」

細貝「戦国BASARA以外で槍2本を扱う舞台があったんですが、殺陣師の人には褒められましたね。そうそうないですもんね、槍を2本使うことって。殺陣は毎回大変だけど、演出の西田さんが毎回違う動きを入れてくださるので常に新鮮です。同時に大変でもありますけど(笑)。西田さんの想像力はすごいと思います。あの人がいたから舞台「戦国BASARA」はここまで大きくなれたんだと思います」

――お互いに個性豊かなキャラクターだと思いますが、演じる上で心がけたことはありますか?

細貝「とにかくがむしゃらにやることでしょうか。西田さんにつけていただいた演出について、共演者の方に『あれは圭が幸村をやっているからつけてくれる演出だよね』と言ってもらえることがあって。それは西田さんが3年間オフの僕も見てくれたことで、信頼関係が生まれてできた部分なのかなと思います。みんなもそうだと思いますよ」

久保田「伊達政宗を演じるのは……とりあえずハイテンション! それくらいですかね(笑)。セリフがセリフだから恥ずかしがってもしょうがないですし。あとは姿勢や背中で示して引っ張っていければいいかなと。でも結局は僕が自由にやらせてもらっていたってことなんですけどね」

――現場では久保田さんが引っ張っていく役割なんですか?

久保田「うーん……特に誰が引っ張るということはないですね。ご飯は僕が率先して引っ張っていきますけど(笑)。この舞台、不思議とまじめに演技しているときにみんなが笑って見てくれるんですよ。笑いが絶えない現場で、それも西田さんが演出家として稽古場の雰囲気も演出してくれているからこそだと思います」

――心に残っている出来事などはありますか?

細貝「とにかくハプニングが多いんですよ。カツラが吹っ飛んだり、階段から転げ落ちたり。特にカツラがとれたときは殺陣中だったのでやりきるしかなくて、お客さんもすごく笑っていたんです。そのとき片倉小十郎(吉田友一)との一騎打ちだったんですが、お互いに自分たちの気迫でお客さんが見入ってしまうくらいの雰囲気にしようと考えていて、他のみんなも励ましてくれたりしてすごく嬉しかったですね。あとは親方様の鉄拳が頭に入ってしまったりですかね(笑)」

久保田「武器はちょいちょい落としますね(笑)。少しずつ大きな舞台をやるようになって公演数や人数も増えていく中で、だんだん戦国BASARAのコンテンツの一つとして認めてもらえるようになったのかなと思います。最初はゲームだからということで制約も多かったんですよ」

――制約?

久保田「ゲームの内容に外れたことはしないでくれということですね。たとえば今は恒例になっている宴会シーンもそうです。最初は宴会はなくて、千秋楽だけやったらお客様の反応が良くて、じゃあ次から取り入れようと。他にも政宗は"蹴り"がNGだったんですが、それも表現のひとつとして認められるようになりました。そうやって柔軟に対応していただけるようになって、表現の幅が広がりましたね。舞台でしか見えない日常、動きが出てきたことで僕らと原作との距離が近づいていったと感じています」

――お二人が思う舞台「戦国BASARA」の魅力ってなんでしょう?

細貝「まず圧倒的な殺陣の量ですね。ゲームのキャラクターを人間が演じることで、ゲームだけでは伝わらない人間関係のドラマも生まれます。卒業したらいち早く僕はお客さんとして舞台を見に行きたいですね」

久保田「人間の肉体のチャレンジですよね。スポーツもそうですが、がんばっている姿は魅力的だと思います。ゲームにはない関係性や、行間を見せることができるのも舞台ならではの魅力ですね」

――最後に、お二人にとって舞台「戦国BASARA」とは何だったのかを教えてください。

細貝「社会勉強でしょうか。僕はずっとアメリカに住んでいて、日本の学校に通った経験がほとんどないんです。そういう意味では学校なのかもしれません」

久保田「僕は4年間やってきたので、大学かな。BASARA大学。この4年間で自信を示すことができたと思っていて、松坂大輔の言葉を借りるなら『自信が確信に変わった』んです」

――ありがとうございました。
 

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やまだい・ゆうき 映画、漫画、ゲームなどエンターテインメント関連の記事を中心に執筆するフリーライター。飲料では特にコーヒーとカフェオレをこよなく愛しており、これまでに数百もの缶コーヒーの感想を記録している。ブログ