『死霊のはらわた』リメイク作をプロデュースしたサム・ライミ

先月、全米初登場No.1を記録したサム・ライミ監督プロデュース作『死霊のはらわた』。全世界にスプラッター・ブームを巻き起こした伝説の映画にして、ライミ監督の長編デビュー作のリメイクだ。そんな記念の1作を、どうして今リメイクすることに!? 取材日当日、『オズ はじまりの戦い』のプロモーションもこなしていたライミ監督に、本作のことを聞いた。

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32年の時を超え、リメイクとして蘇った本作。精神病を患う妹の療養のため、兄と友人たちの男女5名が山奥の不気味な小屋へ。そこで彼らは禁断の“死者の書”を見つけ、邪悪な死霊を呼び覚ます。その死霊が憑依した妹が、容赦なく仲間たちを襲うというストーリーだ。オリジナルはホラー映画史に残る大傑作。しかし、今でこそ名作と誉れ高いが、当時の実情を知るライミ監督は“完全な状態”での公開を切望していたという。「オリジナル版を作ったのは32年前で、まったく予算がなかった。16ミリのモノラルサウンドで撮って、プリントも60本くらいしか作らなかった。だから全米でも、リアルタイムで観た人はほぼいなかった(笑)。そういう意味で、たくさんの人々に(映画館で)観てほしいと、いつも思っていましたね」

その想いを実現する時が来たが、本作ではプロデュースに回った。フェデ・アルバレスという日本ではまだなじみが薄い才人に監督を託したことには、納得の理由があった。「ストーリー的にはキャンプ・ファイアーを囲み、皆で怖い怪談をしているような内容で、いつの世にも存在するものですよね(笑)。それを、世代を超えて伝えていくというパターンがあると思いますが、まさしくアルバレス監督は、僕よりもずっと年齢が下で、次世代の人。彼の撮った『panic attack!』という映画に感動して、彼に任すしかないと思ったほどです」

異例だが、全米公開を待たずすでに同監督の脚本で続編も進行中という本作。コミコンではライミ監督の盟友でオリジナル版の主演、今回は共同で製作したブルース・キャンベルがファンに向けて、「安心しろ」と言っていたそうだ。ライミ監督にとっての良質なホラー映画について、最後に聞いた。「実際に観ていて、本当に身の危険を感じるような恐怖を体験する、それがホラー映画の要でしょうね。言ってみれば車の後部座席に乗っていて、運転している狂人にどこに連れて行かれるか分からない恐怖を、僕は体験したいです(笑)」

『死霊のはらわた』
5月3日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー