「企画屋です」と自己紹介するゴッパの九鬼隆則社長

8月に発売した「Bluetooth カラオケマイク GP-BTMIC1」は、パーティや車中のレクリエーションなどで活躍し、人気を集めている。発売したのは、独自で先進的な製品を手掛けるゴッパ。九鬼隆則社長は「固定概念に縛られない会社」と表現する。ユニークなマイクを世に出した背景について聞いた。

九鬼社長は2000年にアイ・オー・データ機器(I・Oデータ)に入社、05年からは外資系の会社へ移り企画を担当、07年5月にはスマートフォンアクセサリ販売のレイ・アウトの立ち上げに携わったのち、9年間務めて退社。しばらくはアジアの国々を見て回り、16年8月にゴッパを設立した。

独立したいきさつを九鬼社長は「組織の中の一部で仕事をするよりも、自由に動いて、面白いものを引っ張ってきて紹介したり、カスタマイズする。そのほうが、よりはやく、面白い製品を世に出せる」と説明。「再びPC周辺機器を手掛けたいと考え、ゴッパを立ち上げた」という。

ゴッパは当初、アップルの認証プログラムMFiを取得したiPhone、iPad、iPod用のLightning USBケーブルや、ストラップホール付きAirpods用シリコーンジャケットを取り扱っていた。転機が訪れたのは17年1月だ。I・Oデータの細野昭雄代表取締役会長との十数年ぶりの再会が、カラオケマイクを扱うきっかけになった。

スマホと連携で、どこでもカラオケ

I・Oデータでは、PCを介さずにスマホやタブレット端末に直接音楽CDの楽曲を取り込める「CDレコ」を取り扱っている。あわせて提供している「CDレコ」アプリは、楽曲にあわせて端末の画面に歌詞を表示する機能をもち、カラオケのように音楽を楽しめるとしてヒットしている。

その当時、I・Oデータの社長だった細野会長(現)は再会した九鬼社長に、「CDレコ」アプリのカラオケ機能を生かす方法について相談したという。そこで、九鬼社長は中華圏で普及している「Bluetooth カラオケマイク」を紹介。これを細野会長が気に入り、品質の改善を経て、日本での商品化につながった。

このGP-BTMIC1は、「CDレコ」アプリには実装せず、楽曲からボーカル音声のみを取り除く「ボーカルリデューサー」機能を搭載。歌詞表示機能をもつ「CDレコ」アプリや、「カラオケJOYSOUND」アプリと組み合わせて、本格的なカラオケを楽しむことができる。

一方で、音量や、電源ボタンを短く2度押しする「ボーカルリデューサー」の起動方法などに課題を抱えている。今後はユーザーからの声を反映しつつ、課題の解決に努めるとしている。