映画『はじまりのみち』

加瀬亮主演映画『はじまりのみち』が6月1日(土)から公開される。本作は巨匠・木下恵介監督の実話を基にした感動作だが、撮影中には木下監督にまつわる“意外な出来事”が重なったようだ。

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『はじまりのみち』は、戦時中、木下が脳溢血で倒れた母を疎開させるためにリヤカーに乗せて山越えをした、という実話を主軸に、血気盛んな映画青年として軍部に睨まれ、松竹を一時離れるきっかけとなった『陸軍』の製作時のエピソードを盛り込みながら、子を想う母と、母を想う子の愛の物語を描く感動作。『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』や『カラフル』などを手がた原恵一が監督を務める。

木下恵介監督は、同じ年に監督昇進を果たした黒澤明監督と比較されることも多い巨匠監督で、本作は木下監督の生誕100周年を記念して製作された。そのため木下監督のプロフィールや証言、仕事を調査して脚本執筆や撮影中が進められたが、スタッフの意図しない“偶然”も生まれたという。本作では美しい風景と木下監督ゆかりの地を求めて一都六県にてオールロケ撮影が行われ、主演の加瀬のを乗せた車の総移動距離は3週間で約5000キロにも及んだが、その最終撮影地は当初、千葉県が予定されていた。しかし、諸事情からロケの日程が変更になり、クランクアップの撮影場所は木下監督出身地である浜松に。そこでは加瀬演じる木下と便利屋役の濱田岳が『陸軍』の田中絹代について語るシーンが撮影されたが、偶然にも撮影日の11月29日は、田中絹代の誕生日だった。他にも映画では木下監督の生涯や、彼が手がけた作品との“不思議な一致”や“偶然”が重なったという。

もちろん映画は、木下監督やその作品を知らなくても楽しめる内容で、本作でメガホンをとった原監督は「巨匠の若い頃の美談にもしたくありません。ある若者の挫折と再生の物語として描くことが、この先に作られることになる木下作品への興味となる、そんな風に考えています」と語っており、木下作品になじみのある年配の観客から若い映画ファンまで楽しめる作品になっているようだ。

『はじまりのみち』
6月1日(土)ロードショー