<家電激戦区を歩く>愛知・名古屋市(4) 増え続けるスマートデバイス需要 外出先でのインターネット接続が定着

2013.5.13 11:56配信

スマートフォンやタブレット端末など、スマートデバイスの需要が増え続けている。名古屋市の家電量販店では、とくにタブレット端末が爆発的に売れており、各店舗とも収益確保の主力商材になりつつある。これに伴って売れているのが保護フィルムを中心とするアクセサリで、最近は、カラーバリエーションが増えたデバイスケースなども堅調だ。さらに、モバイルWi-Fiルータで、外出先で高速通信のインターネットに接続するニーズも高まっている。名古屋市の各店舗に、どのような売り方で購入につなげているのかを聞いた。(取材・文/佐相彰彦)

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<売れ筋商品>

●【タブレット端末】

初めて購入する層を狙う パソコンコーナーでの販売も

タブレット端末は、昨年、各メーカーが続々新製品を投入し、選択肢が増えている。多くの家電量販店では、「スマートフォンだと画面が小さくてインターネットを閲覧しづらい」というお客様に、スマートフォンより画面が大きいタブレット端末を提案している。実際に購入するお客様の多くは「タブレット端末を使うのは初めて」という人で、家電量販店にとってはこの初心者層をいかに獲得するかがポイントになっている。

ビックカメラ名古屋駅西店でパソコン売り場を担当する山下絢也スタッフは、「タブレット端末コーナーは以前から人気があったが、最近は実機で使い勝手を試しているお客様が多い」という。Apple Sales Professionalという肩書きで、これまでタブレット端末ではiPadの販売を担当していた山下スタッフだが、「Android OS搭載の端末について質問されるお客様が増えている。iPadと比較しながら、お客様が最適な端末を購入できるようご説明している」という。

グッドウィルEDM(エンターテイメントデジタルモール)では、ユニットコムグループで販売している自社ブランド端末「Lesance Tablet」の販売に力を入れている。中部地区の責任者を務めるユニットコム営業統括部の溝口英親リーダーは、「7.0/9.7インチ画面の商品構成で、価格競争力もあるオリジナル商品」と説明。このほか、1万円を切る低価格の端末も売れているという。低価格の端末が売れているのは、「まずは試しに使ってみようと、1台目は安いモデルを購入するお客様が多い」と溝口リーダーは分析する。

ケーズデンキ吹上店は、今年2月の全面改装を機に、タブレット端末をパソコンコーナーに置いた。河瀬正樹店長は、「当店は、パソコンに馴染みの薄い60歳以上のお客様が多い。キーボードを使わないパソコンとして提案したほうが、お客様は理解しやすい」という。「指でタッチして、パソコンと同じようにインターネットを閲覧できること」(河瀬店長)を訴えて、実売に結びつけている。

1台目だけでなく、2台目以降の需要も獲得しているのがソフマップ名古屋駅ナカ店。買い取りサービスの窓口で、お客様が手持ちのタブレット端末を売り、同時に新品や中古品を購入していくというサイクルができつつある。塩田崇博スタッフは、「中古品は価格が安いので、気軽に比較的新しいモデルに乗り換えられる。お客様には好評だ」という。

●【タブレット端末アクセサリ】

端末とのセットや単品でも売れる 若者向けのコーナーづくりも

名古屋市では、タブレット端末の販売増によって関連商品のアクセサリも好調だ。端末との同時購入だけでなく、単品でも継続的に売れることから、家電量販店にとっては収益性の高い商材として位置づけられる。

ソフマップ名古屋駅ナカ店では、同時購入を促進するために、同じ棚の上段にタブレット端末、下にアクセサリを展示。「お客様が見つけやすい売り場をつくった」(塩田スタッフ)という。ビックカメラ名古屋駅西店では、保護フィルムだけでなくケースやキーボードなどが売れており、「アクセサリが充実していることをアピールすることで、さまざまな商品が売れるようになった」(山下スタッフ)としている。

アクセサリの品揃えでも群を抜くヤマダ電機LABI名古屋では、「お客様が気に入った商品を選べるように品揃えを充実させている」(古久根譲副店長)という。

グッドウィルEDMでは、学生が多い大須商店街の地の利を生かして、店の入口近くにアクセサリコーナーを設け、若者向けに仕上げている。「パソコン専門店に来店しづらい方でも、このコーナーには気軽に足を運んでいただいている」(後藤靖生店長)という。

●【モバイルWi-Fiルータ】

スマートフォンと競合 カバーエリアが広いLTEが人気

外出先でインターネットにアクセスできるモバイルWi-Fiルータ。最近では、高速通信規格のLTE対応が主流で、ストレスなくインターネットが楽しめる環境が整っている。複数の端末を同時に接続することができるテザリング機能も一般化して、タブレット端末だけでなく、外出先でスマートフォン、家でパソコンを同時に接続できる利便性を認識するユーザーも増えている。名古屋市の家電量販店では、テザリング機能を搭載したスマートフォンが増えたことで、一時期、モバイルWi-Fiルータの販売が厳しい状況になった。しかし、スマートフォンでテザリング機能を使うとバッテリの減りが早くなることが知られるようになってからは、再びモバイルWi-Fiルータの需要が戻りつつある。

ヤマダ電機LABI名古屋では、自社で提供するWiMAXサービスの「YAMADA Air Mobile」について、専門コーナーで手厚いサポートを提供し、好評を得ている。ソフマップ名古屋駅ナカ店では、店頭でイーモバイルのLTEサービスをアピールして、モバイルWi-Fiルータの購入者増につなげている。ビックカメラ名古屋駅西店では、Wi-Fiモデルのタブレット端末が売れ筋で、モバイルWi-Fiルータとセットで契約するお客様が多いという。名古屋市ではWiMAXがカバーするエリアが限られていることから、カバーエリアが広く、しかも高速で通信することができるLTEが人気のようだ。

■アナリストに聞く「売れる理由」

タブレット端末は、これまでiPadの独壇場だったが、Nexus 7など、7インチモデルが登場して一気に市場が活性化している。年末年始には、前年同期比2~3倍に拡大した。OS別のシェアでも、一時期は70%近い状況だったiOSが50%程度まで下がり、Androidが拡大してきた。サイズ別では、7インチ台の製品が約7割を占めている。今後もこの勢いは続くだろう。

タブレット端末の好調に伴って、アクセサリ市場も活況を呈している。2~3倍のペースだった伸び率が、ここにきて鈍化しているものの、それでも3月の販売数は、前年同月比で48.5%増だった。タブレット端末市場の拡大に合わせて、今後もアクセサリ市場は伸びが期待できる。

モバイルWi-Fiルータは昨年秋から伸びが止まり、今年3月の販売台数は前年同月比5.3%減。原因の一つは、テザリング機能を搭載したスマートフォンが増えていること。スマートフォンのテザリング機能搭載率は、昨年3月に62.3%だったのが、今年3月に94.0%まで上昇。スマートフォンでテザリングを行うと端末のバッテリ消費が早いというデメリットがあるが、これは外付けのモバイルバッテリで対応できるようになった。今後も、モバイルWi-Fiルータとテザリング機能搭載スマートフォンが棲み分けていくだろう。

●家電激戦区「名古屋市」を歩いて

他地域に比べて高額商品が売れる名古屋市。しかし、お客様のほとんどは単に高い商品を購入しているわけではない。自分に適した価値のある商品を購入しているのだ。家電量販店にとっては、お客様の話をしっかりと聞いて要望を引き出す「聞き上手」となって、最適な商品を提案する「接客力」が重要になる。市内の各店では、それぞれの強みを生かしたコミュニケーションで、お客様との距離を縮めようとしている姿をみることができた。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年4月29日・5月6日付 vol.1479より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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